金谷の八寸の名古屋帯

第三千七百七十九回目の作品として、金谷の八寸の名古屋帯を紹介します。

金谷は、まこと織物の分家です。まこと織物は「まことのすくい」と「まことのよろけ」の商標で知られています。

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いちばん上の写真はお太鼓です。捻じり梅を大きく半分、という意匠です。八寸名古屋帯は紬に合わせるものですが、その紬が絣であること考えると、配色も含めてこういうデザインはピッタリ嵌るんじゃないかと思います。

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写真2番目は腹文です。赤はお太鼓だけ、という見識ですね。

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写真3番目はお太鼓の近接です。

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写真4番目はお太鼓の拡大です。

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写真5番目は過去に仕入れた金谷の八寸の名古屋帯です。ずっと昔、紹介したことがりますが、まだ在庫でありますねえ。私はこのデザインも好きですが、2つ並べると金谷の作風がわかってきます。
[ 2017/06/17 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)

東京刺繍の帯の帯合わせ

第三千七百七十八回目は、東京刺繍の帯の帯合わせです。

今日は紬を合わせてみます。

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いちばん上の写真は、秋山真和さんの「綾の手紬」の縞を合わせてみました。かつて菱一が別織していた縞です。別織あるいは別染というのは問屋やメーカーが、作家や産地に対し、オリジナル商品として発注するものを言います。「綾の手紬」ブランドは、草木染で手織りの高級品ですが、菱一の別織バージョンは縞だったので、作家の意志で織った凝った絣の作品よりリーズナブルでした。

この作品は色が赤系ということで菱一でも売れ残っていて、私が安く買ったものです。オリジナル商品というのは、発注した会社が全部引き取らないといけないのでそういうこともあるのでしょう。今回は着物と帯を赤黒の関係で使ってみました。

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写真2番目は、山下八百子さんの黄八丈を合わせてみました。黒と黄色の関係を作ってみました。手刺繍で高そうだけれども、模様は遊びっぽいという帯は、人気作家の高そうな紬に合わせるには良いと思います。

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写真3番目は、読谷花織を合わせてみました。黒に黒という関係を作ってみました。

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写真4番目は、真栄城興茂さんの琉球美絣を合わせてみました。手織りの木綿地で色は琉球藍と福木です。福木は黄色いので、藍と重ね染めすると緑になります。青と黄色と緑の絣ができるわけですね。

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写真5番目は、大城永光さんの琉球絣を合わせてみました。南風原の工房ですが、沖縄の伝統の絣や花織を織っていますが、さっぱりとして実際に着やすい作風です。
[ 2017/06/16 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

東京刺繍の帯の帯合わせ

第三千七百七十七回目は、東京刺繍の帯の帯合わせです。

今日は付下げを合わせてみます。

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いちばん上の写真は、一の橋の付下げを合わせてみました。紬地の付下げです。エキゾチックを狙って更紗を合わせてみました。

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写真2番目は、野口の付下げを合わせてみました。実際に制作したのは米沢新之助さんです。イラストのようなタッチの作品を多く残した作家さんです。存命ですが日本にはいないようですね。

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写真3番目は、野口の付下げを合わせてみました。色紙取りで、中の模様は唐華文です。国籍不明で使いやすいのではないでしょうか。

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写真4番目は、千切屋治兵衛の付下げを合わせてみました。実際に制作したのは中井淳夫さんです。紬地の付下げで、ダンマル描きで洒脱な絵が描いてありますが、陶画を写したものということです。茶陶かなあとも思いますが、近藤悠三の弟子でとても仲良くしている方がいたので、その流れかもしれません。

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写真5番目は、野口の付下げを合わせてみました。実際に制作したのは岡本等さんです。昭和の終わりごろのフォーマル全盛の時代、野口が小紋だけではなくフォーマルでもお洒落だ、というイメージを確立するのに大いに貢献した岡本等さんの作品です。うちでも大人気で、私も見れば仕入れていたのですが、もうこれがほとんど最後です。

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写真6番目は、野口の手挿しの訪問着を合わせてみました。輪郭だけは型、彩色は手で行っている作品です。このようなものを手挿しの訪問着といい、模様が多い割に安価なのが特長です。短所は色違いを着ている人が複数いることですが、大量に作るのではなく、1年に2枚程度を数年にわたって作り続けるというやり方をするので、すれ違うことはまずないでしょう。

配色はさすが野口でとても上手です。デザインについてもみんなに愛される感じです。複数制作を前提するものは、失敗すると損が大きいですからちゃんと市場を考えて推敲していますから。
[ 2017/06/15 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

東京刺繍の帯の帯合わせ

第三千七百七十六回目は、東京刺繍の帯の帯合わせです。

今回の帯は洒落モノでカジュアルというのが基本だと思いますが、私はいつものように、紬~フォーマルまで使ってしまいます。今日は染めの着尺に合わせます。刺繍の帯の良いところは、絵画的な模様の着尺を合わせられるところです。友禅の帯だと絵画の上に絵画を重ねることになってしまいますから。

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いちばん上の写真は、野口の着尺を合わせてみました。帯のテーマがヨーロッパの街の縁日と大道芸人というエキゾチックなものですから、着物のテーマはとりあえず更紗にしてみました。単色濃淡の植物模様で使いやすい着尺です。

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写真2番目は、野口の着尺を合わせてみました。多色の縞更紗で全く余白が無い意匠なので、友禅でも型染でも模様のある帯は使いにくいです。今回の帯は刺繍の模様の周りに十分な余白があり、着物の模様と帯の模様が分離できるので見た目自然です。

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写真3番目は、野口の着尺を合わせてみました。多色の縞更紗で全く余白のない意匠です。上と違うところは、型染(あるいはシルクスクリーン)で細密な表現をしているところですね。好き好きですが、どちらも帯合わせは難しいです。今回のような刺繍の帯は、模様自体は重厚ながら余白があるわけですが、そういう帯は便利ですね。

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写真4番目は、野口の着尺を合わせてみました。葡萄の蔓がテーマですが、大きい模様でしかも総柄という、作品としてはとても面白いが、帯合わせは難しいという着物です。模様は重厚でも余白があるという刺繍帯の特長が生きる着物ですね。

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写真5番目は、野口の着尺を合わせてみました。楓の枝をテーマにした着尺ですが、1つの模様が一巡するのが2mほどある(型の長さが2mもあるということ)ため、着てしまうとなかなか模様が繰り返しませんから、訪問着のような雰囲気になります。帯としてはそこそこの重厚さも必要なので、このような手間のかかった帯が良いのではないでしょうか。

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写真6番目は、野口の着尺を合わせてみました。多色の楽しげな雰囲気の着尺です。帯のテーマが縁日と大道芸人なら、着物も明るく楽しいものが合うはず、ということで選んでみました。

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写真7番目は、藤井絞の着尺を合わせてみました。雀を絞った着尺です。あらかじめ表現したい具象的なデザインがあって、そこに向けて絞り方を工夫しているわけですから、辻が花の流れをくむものです。その反対は有松のようにいろんな絞り方を工夫して、結果として思いがけない模様が現れるのを喜ぶ絞ですね。

縫い締め絞りは、生地を摘まんで防染するのが普通ですが、このように模様の色が地色より濃いものは、模様を絞っているのではなく模様以外を絞っているのですし、模様の周りにさらに濃い輪郭部分があるのも絞り方の工夫ですから、極めて難度の高いものです。

私は絞りの着物を仕入れる時に、絞り方の難度の高そうなものを仕入れるようにしています。真似されにくいですから値崩れしませんものね。たまたまセンスが良くても、ただ生地を摘まんでできるものは誰でも出来そうですから。
[ 2017/06/14 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

東京刺繍の帯の続き

第三千七百七十五回目は、東京刺繍の帯の続きです。

個別の模様の近接の続きです。このような作品の魅力は、個別の模様ですから、今日は細かいところを見てください。

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いちばん上の写真は、お太鼓にある個別の模様の近接です。車輪がついている大型の楽器です。撥を持っているので太鼓なのでしょうか。ヨーロッパの街の縁日の風景だと思いますが、そのような意匠では、音が出る楽器を持った人を含めると、見た人が音を感じるようになります。

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写真2番目は、お太鼓にある個別の模様の近接です。子供も欠かせない要素ですね。子育てを経験した人は感情移入しやすいのでは。

模様の表現ですが、どの模様も色糸を使って面を埋める刺繍をしつつ、金糸のまつい繍で細部の線表現をしています。面を埋める刺繍はすべて地の目に沿っていますが、生地が垂れない配慮でしょうか。面を埋めることでボリュームを感じさせるのと、線表現で細密さを感じさせるという対照的な2つの技法で、絵として魅力にあるものにしているのです。

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写真3番目は、お太鼓にある個別の模様の近接です。ガス灯で、梯子はガスに点火するためのものでしょう。芸能人のヘタウマなえのような表現ですが、これが温かみを生んでいます。

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写真4番目は、腹文にある個別の模様の近接です。コンバーチブルの自動車でしょうか。これだけは線表現が多いですね。

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写真5番目は、腹文にある個別の模様の近接です。自動演奏の機械でしょうか。この模様は綿を埋める表現が多いです。線表現が多い自動車の隣にあるので、この2つでバランスをとっているんじゃないかと思います。なんでも一生懸命たくさん仕事をすればよい、という発想だととても高いものになってしまいます。一生懸命やるところ、少し休むところ、緩急自在っていうのも刺繍作家のセンスですね。

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写真6番目は、腹文にある個別の模様の近接です。私はこれがなんだかわからないんですよ。

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写真7番目は、お太鼓の模様の裏側です。
[ 2017/06/13 ] 繍箔 | TB(0) | CM(0)