喜多川俵二の名古屋帯「鉄線唐草」の帯合わせ

第三千八百七十一回目は、喜多川俵二の名古屋帯「鉄線唐草」の帯合わせです。

今日は染めの着尺に合わせてみます。

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いちばん上の写真は、野口の手描きの着尺を合わせてみました。実際に制作したのは岡重です。かつてのヒット商品で定番でした。手挿し(糸目は型)で四季の花を描いて、ぼかしと合わせたものです。

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写真2番目は、野口の着尺を合わせてみました。四角い取り方の中に、七宝繋ぎ、割り付け文、あるいは型疋田を入れた意匠です。花が無い意匠の着物は、花模様の帯が合わせやすいので便利です。

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写真3番目は、花也の着尺を合わせてみました。上品絵なんにでも合いそうな着物ですが、模様は笹蔓緞子に取材したものですから、帯との関係では名物裂が重なってしまいます。陥穽はいろいろあるものです。

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写真4番目は、野口の手挿しの着尺を合わせてみました。ちょっと見は訪問着のような、大きくて絵画性の高い模様です。普通の小紋よりは格が高く、パーティー着という位置づけですね。

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写真5番目は、野口の着尺を合わせてみました。唐草模様の花は植物と思わず植物模様を合わせてみました。

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写真6番目は、千切屋治兵衛の着尺を合わせてみました。雪輪と早春を表す破れ雪輪です。とりあえず植物文を避けてみました。
[ 2017/09/18 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

喜多川俵二の名古屋帯「鉄線唐草」の帯合わせ

第三千八百七十回目は、喜多川俵二の名古屋帯「鉄線唐草」の帯合わせです。

今日は本格的な絵羽物に合わせてみます。

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いちばん上の写真は、千切屋治兵衛の訪問着「市女笠」を合わせてみました。実際に制作したのは中井淳夫さんです。市女笠と紅葉を組み合わせた意匠は江戸時代の小袖にあり、それを現代の訪問着の様式に変更しています。具体的には1つ1つの模様の大きさで、本歌は大きいのですが小付けに変えています。

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写真2番目は中井淳夫さんの訪問着を合わせてみました。桂帯のような几帳の軟錦(ぜんきん、几帳や襖の縁の使われた裂、有職文様)のような意匠です。3つの弧(細い金線は刺繍)が交わるデザインで、私は、弧に囲まれて面積を求める数学の問題を連想してしまいます。あるいは25日移動平均線と75日移動平均線が交わるところみたいです。

中井さんらしいところは、太い弧が生地の縫い目を越えて距離の長いぼかしになっているところです。同じ生地の中でぼかすにするのは普通ですが、裁った後の別の生地までぼかしの濃度を合わせるのは難度が高いです。

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写真3番目は、千切屋治兵衛の訪問着「取り方楓」を合わせてみました。実際に制作したのは、中井淳夫さんです。暈しで扇面のようなおおきな取り方を作り、その中に楓を描いています。糸目は隠してありますが、模様が重なるところを見ると防染はしているようです。

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写真4番目は、北秀の訪問着を合わせてみました。実際に制作したのは安田です。安田の究極的に美しい糊糸目の作品ですが、黒地で箔部分は金彩ではなく銀彩、刺繍部分は金糸でなく銀糸なので、全体に粋な雰囲気です。

当時の北秀が扱っていた安田はほとんどが銀座のきしやで売られ、銀座きしやは銀座の高級クラブにも近いので、高級店のママがお客だったのかと思います。この訪問着は当時の参考上代で140万円でしたから、そういう衣裳を身に着けることも含めて当時(1997年まで)の銀座のクラブだったのだと思います。

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写真5番目は、熊谷好博子の黒留袖「花舟」を合わせてみました。東京友禅の伝説的な作家の代表的な作風です。弟子は生涯に2人で、工房を持たなかったので、このような本格的な作品は見る機会は少ないです。
[ 2017/09/17 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

喜多川俵二の名古屋帯「鉄線唐草」の帯合わせ

第三千八百六十九回目は、喜多川俵二の名古屋帯「鉄線唐草」の帯合わせです。

今日は付下げに合わせてみます。名物裂の唐草文様に取材しているということで、テーマとしては格が高いですが、一方で形式としてはカジュアル方向の名古屋帯です。両方勘案し、付下げや軽い訪問着に合わせてみました。明日以降は本格的な訪問着や小紋や紬にも試してみたいと思っています(紬はどうかなあ)。

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いちばん上の写真は、千切屋治兵衛の付下げ「桐唐草文箱」を合わせてみました。実際に制作したのは倉部さんです。倉部さんの、模様の面積はたいしたことないが、じつは高価な付下げです。上品や洗練で人間国宝の帯にはちょうど良いと思いますが、よく見ると文箱の中の模様は桐唐草。帯の鉄線唐草と重なってしまうんですね。帯合わせは意外なところに陥穽があります。

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写真2番目は、秀雅の付下げを合わせてみました。実際に制作したのは大松です。縦長の草花模様です。縦長すぎて模様がマエミの中に納まり、オクミは無地です。黒地ということもあって、すきっとしすぎて粋な感じです。帯も黒地にして粋を貫いてみました。

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写真3番目は、千切屋治兵衛の付下げ「春草木」を合わせてみました。実際に制作したのは中井亮さんです。亮さんは恭三さんの息子で淳夫さんの甥になります。京友禅でいちばんレベルの高いものをつくれる1人ですね。白に近い地色で、桜を中心として春の草木を描いています。

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写真4番目は、岡重の付下げを合わせてみました。巨大な雪輪を前姿に1つ配したもの。巨大すぎて半分だけです。模様は華やかですが、それ以外の場所は小さな白揚げの雪輪があるばかりで、ほとんど度無地です。岡重の模様はかわいさや幼さがあるので、通俗的に思ってしまいますが、模様の配置はじつはけっこう芸術的。

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写真5番目は、千切屋治兵衛の付下げ「波」を合わせてみました。実際に制作したのは中井淳夫さんです。波と波頭を描いた模様ですが、友禅でありながら糸目を隠してあって、地色と波の色が直接接しています。糸目の白い線が介在しては色が調和しないからです。

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写真6番目は、野口のカジュアルな訪問着(パーティー着)を合わせてみました。更紗模様の着尺に使う型(シルクスクリーン)を流用したものです。
[ 2017/09/16 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

喜多川俵二の名古屋帯「鉄線唐草」

第三千八百六十八回目の作品として、喜多川俵二の名古屋帯「鉄線唐草」を紹介します。

先日紹介した喜多川俵二さんの作品は有職文様の二陪織物でしたが、今回は名物裂の唐草文に取材したものです。最初の牡丹唐草は舶載されたものですが、菊、桜など日本でもいろんなバリエーションがつくられました。

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いちばん上の写真は帯の幅を写真の幅として撮ってみました。

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写真2番目は近接です。

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写真3番目は、もっと近接です。

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写真4番目は拡大です。鉄線部分は絵緯糸による表現です。

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写真5番目は裏側です。裏側は唐草部分の色でした。鉄線部分と唐草部分は、表から見ると同じ組織で織られているように見えます。しかし裏を見ると、鉄線部分は絵緯糸で表現してありますが、唐草部分は地の組織に絡んで黒い糸と共に地を構成しています。

この違いは、鉄線の花は4色あって毎回違うのに対し、唐草部分は1色でしかも全体に均等に広がるデザインなので組織に絡めてしまった方が合理的なのでしょう。生地も丈夫になってしわになりにくいですし。

さらに写真4番目に戻って見ると、唐草の色の糸は組織に絡んでいるために、表地に点々と露出しているんですね。この点々のおかげで、地色が真っ黒ではなく含みのある黒に見えています。それが作品全体を優しく見せているんですね。実利もあるし視覚効果もある、それで合理的というわけです。

ちなみに織物における合理性とは、同じ機能と視覚効果をなるべく少ない糸で実現するということだと思います。無駄に糸を使っていれば、資源が無駄であるばかりでなく重くて着づらくなりますものね。

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写真6番目は裏側の近接です。鉄線の花を表現している絵緯糸の状態を分かりやすく撮ってみました。模様と模様をつなぐところが裏で渡り糸になっています。同じ色が横につながるようなデザインであれば、渡り糸が横1列につながるような組織が合理的なわけですが、この帯のデザインはそれぞれ色の違う花の形の塊が点在するデザインなので、その模様の塊の中だけ糸が渡っています。
[ 2017/09/15 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)

千切屋治兵衛の付下げ「彫金唐草」(実際に制作したのは倉部さん)の帯合わせ

第三千八百六十七回目は、千切屋治兵衛の付下げ「彫金唐草」(実際に制作したのは倉部さん)の帯合わせです。

今日は友禅の名古屋帯を合わせてみました。今回の着物は友禅を使っていませんし、絵画性も低いので、絵画性の高い友禅の帯で合わせるのも可能だと思います。ただ、着物に負けない存在感が必要なので大羊居を使ってみます。

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いちばん上の写真は、大羊居の名古屋帯「象のいる楽園」を合わせてみました。エキゾチックどうしの安定した組み合わせです。濃紫の着物地に純粋に青い帯の組み合わせはスリルがありますが、けっこう快感では。

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写真2番目は、大羊居の名古屋帯「更紗の苑」を合わせてみました。これもエキゾチックどうしの安定した組み合わせです。

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写真3番目は、大羊居の名古屋帯「八つ手」を合わせてみました。建築装飾のような着物の模様に対し、花鳥風月的な日本の情緒を写した模様は異質ですが、濃紫の着物と黄緑の帯の配色はちょっと面白いかなと思います。

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写真4番目は、大羊居の名古屋帯「寿桃」を合わせてみました。桃というテーマは花鳥風月的な日本の風物というよりも、中国の道教的な神話に基づくので、上の例よりは彫金唐草に近いかと思います。

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写真5番目は、大羊居の名古屋帯「桐花」を合わせてみました。桐も日本の植物で花鳥風月の一部かもしれませんが、日本政府の紋章でもあり権威的でもあるので、八つ手よりは彫金唐草に近いかと思います。

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写真6番目は、大羊居の名古屋帯「舞踏会」を合わせてみました。かつて野口真造の作品にシャンデリアを並べて「舞踏会」と題した訪問着があり、これはそのダイジェスト的な作品だと思います。シャンデリアの装飾には着物の文様と同じようなのがありそうなイメージで、似すぎかも。
[ 2017/09/14 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)