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龍村の名古屋帯「麗葉果」の帯合わせ

第三千三百七十回目は、龍村の名古屋帯「麗葉果」の帯合わせです。

今日は付下げを合わせてみました。龍村というと濃厚な色のイメージなので大羊居が合いそうですが、今日はあえて淡い色のイメージの花也で合わせてみます。

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いちばん上の写真は、紬地で淡いピンク地の花也の付下げを合わせてみました。糊糸目で上品に描かれた花枝と流水の模様で、模様面積が大きいためお得感があります。ホンモノの糊糸目の友禅というのは、本来高いものなので、値段の割に模様面積が広いとありがたいですね。

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写真2番目は、淡いペパーミントグリーン地の花也の付下げ「竹林」を合わせてみました。竹林と言っても笹の葉などは一切なく、実質的には、縦の直線を並べた幾何学模様のように見えます。竹の節が多色のあしらい(刺繍)になっていて、アイキャッチポイントの役割を果たしています。竹はほとんど白揚げで、わずかに色が挿してある程度ですが、そのかわり地色が竹の色を思わせます。

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写真3番目は、白茶地の花也の付下げ「」を合わせてみました。前姿で模様がⅬ字型になっていますが、このような模様配置を額縁取りと言います。取り方の内部は更紗模様ですが、細長いので実質的な模様面積は小さいです。そのかわり、友禅、ダンマル描き、箔、刺繍、描き絵など京友禅のすべての技法が使われた多色の模様で、狭い池にたくさん金魚が居るようなにぎやかな雰囲気になっています。

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写真4番目は、水色地の花也の付下げ「白川女」を合わせてみました。京都には、頭に野菜や花を載せて行商する「白川女」とか「大原女」がありますが、現在は実際に行商しているわけではなく観光用ですよね。この作品はそれをテーマにしていますが、人物を省略して、頭に載せる商品だけを模様にしています。

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写真5番目は、水色地の花也の付下げ「和本」を合わせてみました。江戸時代の小袖でも本をテーマにしたものがありました。テーマにされるのは謡曲の本が多く、次は源氏だったのではないでしょうか。たいてい開かれた本のうち1,2冊が挿し絵のページという設定で、友禅で描かれた情景により、謡曲の演目や源氏のどの帖は分るようになっていました。すぐにそれが分るかどうかで教養を競うゲームになっていたのではないでしょうか。

この作品は、そのような要素は全くなく、開かれたページのすべては型疋田や摺箔になっています。絵のページが無いので、友禅の見せ場が無いですが、あえて絵画性を抑制した意匠が都会的なのかなとも思います。
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[ 2016/05/02 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

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