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倉部さんの付下げの帯合わせ

第三千三百六十四回目は、倉部さんの付下げの帯合わせです。

今日は友禅の帯を合わせてみます。たいていの付下げは友禅で模様が描いてあるので、それに友禅の帯を重ねるのは憚られますが、今回の付下げは刺繍だけなので、友禅の帯も気持ち良く合わせられます。着物は模様も少なく絵画性も低いので、絵画性の高い友禅の帯を合わせて、絵画性の不足を補います。友禅という技法は元々絵画性が高いのが利点ですから。

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いちばん上の写真は、橋村重彦さんの野口時代の名古屋帯「貝桶」を合わせてみました。本歌は小袖や袱紗にしばしば登場する刺繍の模様ですが、ここでは友禅に変更してあります。橋村さんは中井淳夫の彩色担当でもあったので、色が中井らしい濃厚です。

貝桶は六角形なのに貝桶の模様はそれぞれの面に沿わず平面です。絵画としてはおかしいのですが、貝桶を描いたわけではなく、貝桶を取り方として利用しているということで、本歌がすでにそうなっているのです。

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写真2番目は、花也の友禅の名古屋帯「扇子」を合わせてみました。少し開いた扇子を取り方にして、松、亀甲、菊唐草など縁起の良いモチーフを入れています。取り方という様式は、各模様が独立してしまって展開しないという欠点がありますが、広げた紐がそれぞれの取り方を1つの模様としてつなげる役割をしています。それも安田の様式ですね。

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写真3番目は、花也の友禅の名古屋帯「硯」を合わせてみました。硯を描きつつ、それを取り方にして中にシダと笹を入れています。取り方とは模様の容器で、模様どうしが入れ子構造になっているわけです。「取り方」というのは日本の工芸の意匠の中で重要な要素ですね。

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写真4番目は、秀雅の友禅の名古屋帯を合わせてみました。実際に制作したのは安田です。秀雅は残念ながら今はありませんが、北秀の元社員がやっていたために安田とも取引があったのでした。意匠は以前紹介した時は「更紗」としていましたが、読者の方のご指摘により「レース」と改めました。レースの縁の部分をそのまま意匠にしているので、このような形なんですね。着物の図案家が他の分野の工芸品に取材するときは、意外にアレンジしないものです。

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写真5番目は、千切屋治兵衛の友禅の名古屋帯「松重ね」を合わせてみました。実際に制作したのは中井亮さんです。今日は、着物に不足する絵画性を帯で足すという趣旨でしたが、それとは反対にシンプルなコーディネートになってしまいました。

着物の作者がシンプルな意匠を作った場合、着る人にシンプルに着て欲しいと思っているかもしれません。そうであれば、帯で絵画性を足すというのは作者の意図に逆らいますねえ。別に作者の意図にしたがわなくてもいいのですが、中学の国語の試験の読解問題の最後に「作者の意図は何ですか」という設問があったのを連想し、正解しないといけないような気がしてしまいます。
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[ 2016/04/26 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

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