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倉部さんの付下げの帯合わせ

第三千三百六十三回目は、倉部さんの付下げの帯合わせです。

今回の付下げは、袖や胸にも模様が有りますが、どこもみんな同じなので省略し、今日から帯合わせをします。着物の意匠には、前姿、後姿、袖、胸などで展開して変化して行くものもありますが、どこでも同じ模様を繰り返して行くものもあります。どちらも美しいですが、この着物は後者ですね。

今日は、海の波というテーマに着目して意味のつながる帯合わせを考えてみます。

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いちばん上の写真は、龍村の名古屋帯「ほかけ」を合わせてみました。波に舟という組み合わせですね。とても良い帯わせだと思いますが、朱色系を使っていない龍村の配色のおかげです。

作り手の立場になると、朱色を使わないと地味でつまらない着物になると思って、朱色を挿してしまいがちです。その結果、年輩者が派手と感じて着られない若向きの着物になってしまうんですね。「派手」と「綺麗」は似ていますが、「派手」でなくても「綺麗」な着物は作れます。この帯もその例ですね。

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写真2番目は、龍村の袋帯「八つ橋螺鈿錦」を合わせてみました。光琳の本歌では、八つ橋の下は杜若ですが、この作品では波頭渦巻く海の波に改作されています。八つ橋の下の海の波を着物の海の波に連続するように見立ててみました。

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写真3番目は、木下冬彦さんの塩瀬に友禅の袋帯を合わせてみました。木下冬彦さんは熊谷好博子の弟子の東京友禅の作者です。松と砂と波頭を描いたもので、熊谷好博子も得意とした江戸解模様とも言われる意匠ですね。着物の海の中に帯の松島があるという組み合わせにしてみました。

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写真4番目は、菱一で仕入れた江戸刺繍の名古屋帯を合わせてみました。名物裂の「荒磯」をテーマにしたもので、海の波と魚というつながりで合わせてみました。

刺繍というのは、突き詰めれば針だけあればできるので、刺繍工房に勤めていた女性作家が、結婚退職後、元の工房の関係者から依頼されて子育ての合間に副業ですることもできます。そのため、実際の作者はよくわからないことが多いです。この作品も江戸友禅ということは確かですが、実際にだれが作ったのかわからないのです。仕入れ先は自分が中抜きされては困るので絶対に教えてくれないですしね。

友禅や型染であれば、水洗や蒸しの工程があったり、引き染のための12m以上の長さの敷地がある工房(都内であれば相当の資産になる)が必要ですから、隠れてすることはできないので作者がわかることが多いんですけどね。

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写真5番目は、野口の絞りの袋帯「日月」を合わせてみました。根津美術館にある辻が花裂に取材したものです。とても有名な作品ですが、本来の小袖の姿ではなく裂にすぎないため作品の天地がわからず、三日月部分が上か下かわからないのです。三日月が上に有れば月と太陽が並ぶ壮大な天体ショーということになりますが、三日月が下であれば平凡な草花模様になります。

現代人の価値観からすれば天体ショーというスケールの大きなテーマであって欲しいですよね。野口もそのような解釈で帯にしています。ここでは、海と太陽と月という壮大な帯合わせをしています。
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[ 2016/04/25 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)

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