大羊居の付下げ「此君」の細部

第三千三百五十六回目は、大羊居の付下げ「此君」の細部です。

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いちばん上の写真は、オクミの筍の近接です。この作品ではいちばん若い筍は、ベージュと黄色で描かれているようです。実際に食用にする筍は、地面から出るかでないかというタイミングですから、これは絵としては美味しそうですがちょっと育ちすぎですね。

輪郭線と筋を金糸で刺繍(あしらい)しています。あしらいの機能は模様の大事な部分の強調ですが、このばあいは強調するとともに、金糸の輝きが若い筍のみずみずしさを表現しているようです。

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写真2番目は、マエミの笹の葉の近接です。笹のあしらいは、葉の輪郭を金糸で括っているものについては強調だと思います。しかし、葉の内部を同系色の緑で刺繍しているものについては、刺繍糸の光沢が葉の表面の光沢を表現しているように見えますね。このばあいは単なる強調ではなく、写生的な表現を目指すという積極的な機能を持っていると思います。

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写真3番目は、マエミの竹に変わりつつある筍です。茶と紺の配色が美しいですが、実際にこのタイミングの筍はこんな色をしているのでしょうか。私は筍の観察をしたことが無いのでよくわかりません。しかし、紺色が効き色になって意匠として優れているのは確かですね。

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写真4番目は、後ろ姿の竹に変わりつつある筍です。これも紺と茶の配色が美しい筍ですが、輪郭と筋に金糸のあしらいもしています。茶と紺の配色だけではなく、金と紺という配色でもあるわけで、際立った意匠性をもっています。

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写真5番目は、後姿の筍の大小です。ここでグレーの筍も登場しました。銀糸のあしらいがされていて全体がシルバーに輝いているようでもあります。この時期の筍は育ってしまった竹よりも水分があってみずみずしいので、光の加減で陰になるとこんな風に輝くということでしょう。この作品は、竹と筍という単一のテーマ、単一の季節を扱っていますが、意匠と写生がせめぎ合う境目にあって、それが魅力ですね。

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写真6番目は、福田平八郎の筍です。純粋な芸術作品である絵画の筍と比較してみてください。
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[ 2016/04/18 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

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