千切屋治兵衛の訪問着(制作は中井淳夫)の細部

第三千二百五十四回目は、千切屋治兵衛の訪問着(制作は中井淳夫)の細部です。

今日も雲取り内部の模様を紹介します。

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いちばん上の写真は、牡丹唐草の雲取りと、摺箔と金砂子の雲取りです。雲取りに琳派模様の訪問着というイメージですが、全てが琳派模様ではなく、唐草模様や金加工のみの雲形も含まれています。模様の密度に強弱をつけて息が詰まらないようにしているんですね。摺箔と金砂子の雲形は箸休めといったところでしょうか。

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写真2番目は、菊唐草です。琳派模様と唐草模様が並ぶと、目は具象的な琳派模様に引き寄せられます。しかし、琳派模様は余白があるのに対し、唐草模様には余白が無いですから、物理的には密度が高いのかもしれませんね。

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写真3番目は、松竹梅や牡丹が唐草になっています。マエミに有って主役を構成する模様の1つです。牡丹と梅の輪郭の金糸の駒繍が非常に精緻です。これは中井作品の特長の1つで、ここだけ部分的に見ると倉部さんより上手いぐらいですね。

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写真4番目は、琳派模様ですね。構成的な唐草部分に対し、琳派部分は模様に動きがあります。

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写真5番目は、私がいちばん好きな部分です。友禅で花を描く場合、濃淡が美しいものが多いですが、もしかしたらその美しい濃淡は、色のムラをごまかすために必要なものなのかもしれません。水彩で絵を描くとき、筆で平面を単色で塗るというのは意外に難しいですものね。

全くムラの無い平面塗りの花の表現と、その輪郭の精緻な金糸の駒繍が、私がいちばん好きな部分です。
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[ 2016/01/03 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

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