花也の地紋を生かした付下げの帯合わせ

第三千二百四十一回目は、花也の地紋を生かした付下げの帯合わせです。

今回の着物は、色は防染による白抜きのみですし、テーマも真っ直ぐな立木があるのみですから、絵画性と物語性に乏しいといえます。こういう着物の帯合わせは、着物に足りない絵画性・物語性を帯で補うような帯合わせをするか、着物と同じ絵画性・物語性に乏しい間道のような帯を合わせ、全体として無地系のコーディネートにするか、どちらかですね。

昨日は、間道や横段の帯を合わせ、無地系のコーディネートにしましたが、今日は、友禅染と刺繍の帯を合わせて絵画性・物語性を補う帯合わせをしてみます。

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いちばん上の写真は、木下冬彦さんの東京友禅の袋帯を合わせてみました。木下冬彦さんは熊谷好博子の弟子です。有名作家は工房を運営し弟子が2~30人いて、その人たちがやがて弟子を名乗って独立するわけですが、熊谷好博子は生涯に2人か3人の弟子しか育てなかったと思います。その1人でいちばん有名なのがこの人ですね。

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写真2番目は、木下冬彦さんの東京友禅の袋帯を合わせてみました。細密な糊糸目の友禅に蝋たたきの地、それに刺繍も加えるという濃厚な画面をつくっています。模様は海浜模様ですが、ずっと見ていると迷路に入って出られなくなったような感じがしますね。

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写真3番目は、一の橋の友禅の名古屋帯を合わせてみました。中井淳夫を思わせる重厚な友禅です。薬玉と立木は何の関係もないですが、直線的な着物の模様と、回転する薬玉の紐の対比が良いです。直線に対し曲線という形を加えることでもありますね。

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写真4番目は、東京の刺繍と堰出し友禅の名古屋帯を合わせてみました。疋田部分は、型疋田ではなく、堰出しによる手描き友禅です。型とどこが違うのかといえば、粒の形の微妙な違い、配列の微妙な揺らぎだと思います。堰出しの疋田と刺繍を合わせたこのような様式は、もともとは千代田染繍に由来するのでしょう。しかし刺繍というのは技術があれば自宅で出来るので、全て内職者に外注されているようで、この作品の作家は東京の誰か、という以外わかりません。

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写真5番目は、北秀の刺繍と箔の袋帯を合わせてみました。この帯合わせは、絵画性・物語性を補う帯合わせとはいえないですね。色も無彩色のグレーと金だけですし、むしろ無地系のコーディネートといえるかもしれません。しかし、華やかさは加えられています。無地系のコーディネートに対し、つまらないコーディネートという人がいますが、それは華やかさが足りない時だと思います。無地系のコーディネートというのは、色や模様が少ないことですが、地味であれとは言っていません。模様がなくなっても華やかさをキープするのが無地系コーデ成功のコツですね。
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[ 2015/12/21 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

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