藤井絞の名古屋帯「神坂雪佳の金魚」の続き

第三千二百三十二回目は、藤井絞の名古屋帯「神坂雪佳の金魚」の続きです。

昨日紹介した「正面から見た金魚」の腹文(帯の前の模様)を撮ってみました。帯のお太鼓と腹文の関係は、腹文がお太鼓のテーマのダイジェストであるばあいが多いですが、そうでないばあいもありますね。全く違うようでいて、じつは意味的につなげたというものもありますし、そのつもりで描いたのに滑ってしまったものもあります。

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いちばん上の写真は、腹文の全体です。完全なダイジェストであれば、お太鼓の金魚を小さく描くということになりますね。しかし、絞りのばあいは、同じ形で小さく絞るというのはかえって難しいかもしれません。植物文ならば、枝を減らして描きますが、金魚は小さいからと言ってヒレが少ないわけではないですものね。

その他には、普通に横向きの金魚を描くという方法、お太鼓の金魚を反対から見ているということで、後姿の正面を描く方法もありますが、それはすでにダイジェストではなく創作ですね。

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写真2番目は、腹文の片側の近接です。この作品では、お太鼓に金魚の添え物として水草を描き、その水草を腹文の両側に引き継ぎました。また全体には絞りによる染分けをしていますが、これもお太鼓からの引継ぎで、ダイジェストといえる部分ですね。

腹文の片側の主役は流水か泡のような模様が絞ってありますが、これは琳派の流水文の形を写しています。神坂雪佳も琳派ですから妥当なところでしょう。

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写真3番目は、腹文のもう一方の片側の近接です。ここは賛否両論だと思います。金魚に対して猫で、神坂雪佳の意匠に挑戦した感じですね。近年、呉服業界では神坂雪佳は人気がありすぎ、各社競作の状況ですから、なにか個性を持たせたいという気持ちはわかります。猫を尻尾だけにしたのは藤井絞の良識ですね。

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写真4番目は、悩む箇所をさらに近接してみました。近接してみると、染液に浸けていない絞りとはいえ、とても上手です。独立した猫の作品を絞りで作った方が良いかも。この分野は発展の可能性があるかも。
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[ 2015/12/12 ] 絞り | TB(0) | CM(0)

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