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藤井絞の名古屋帯「神坂雪佳の金魚」

第三千二百三十一回目の作品として、藤井絞の名古屋帯「神坂雪佳の金魚」を紹介します。

最近、とても有名になった神坂雪佳の「正面から見た金魚」を絞りで表現して帯にしたものです。神坂雪佳は、琳派に分類される近代京都の日本画家ですが、近年になって再評価されています。きっかけはエルメスが取り上げたことだとされています。神坂雪佳は、明治時代に創業し今も続く芸艸堂(うんそうどう)という出版社から、木版摺の下絵集「百々代草」などを出版していて、これは近代の工芸の意匠に大きな影響を与えたものです。当時と同じ木版摺の本ならば10万円ぐらいするでしょうが、今は普通の美術本として同じ芸艸堂から3000円ぐらいで販売されています。

着物業界では、神坂雪佳は大変な人気で、いろんなメーカーが写しをつくっています。糸目のある友禅で普通に作ってしまった作品もありますし、元作品を完全に再現するために糸目を消したり素描で作ったりした作品もありますね。この作品は、絞りでつくってみた、ということです。

「芸」をなぜ「うん」と読むかですが、この「芸」は「藝」の新字ではなく、もともと旧字で「芸艸」と書くミカン科の植物名なんだそうです。昔からずっと謎だったのですが、最近本人のブログを見て謎が解けました。

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いちばん上の写真は、お太鼓です。

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写真2番目は、近接です。

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写真3番目は、もっと近接です。近接するとよくわかるのですが、じつは今回は絞った後に染液に浸けていません。本来絞りというのは、生地を絞って防染した後に染液に浸けるものですが、現代の辻が花作家の多くは染液に浸けず、絞った後に筆で着彩しているのです。有名な作家はほとんどそうなのです。

それは本来邪道で、藤井絞は数少ない本当に染液に浸ける工房なので凄かったわけですが、この作品では他の現代作家と同じく、染液に浸けないで作っています。さすがにこの金魚の造形は完全防染できなかったのでしょう。実際に近接で作品を撮るととても美しいです。染液に浸ける作家は、染液に浸けなければさらにうまく作れるということでしょう。雨の日に速く走れるドライバーは晴れの日にはもっと速く走れるものですよね。

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写真4番目は、水草に近接です。水草は茎は絞って筆で着彩して、葉は筆で生地に直に描いているように見えます。これも現代辻が花作家の普通の手法ですね。
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[ 2015/12/11 ] 絞り | TB(0) | CM(0)

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