大城広四郎の琉球絣の帯合わせ

第三千二百二十三回目は、大城広四郎の琉球絣の帯合わせです。

今日は千切屋治兵衛の塩瀬の名古屋帯を合わせてみました。

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いちばん上の写真は、千切屋治兵衛の塩瀬地の名古屋帯を合わせてみました。実際に制作したのは藤岡さんで、技法は糊糸目の友禅、テーマは「ザクロ」です。千治では昔から人気のシリーズである、藤岡さんの糊糸目友禅による植物画の塩瀬の名古屋帯です。藤岡さん自体が代が替わっても、連綿と続いている千治の人気商品で、いろんな植物を描いてきましたが、これは柘榴ですね。

本来緑色である葉を青の色で染めるという反自然的なこともしていますが、これは江戸時代の小袖によくある様式です。作品自体は写生的なタッチでもありますが、装飾的な要素や伝統的な友禅の様式を取り込んでいるんですね。写生を基本に装飾的要素を隠し味のように入れるのが、ユーザーに受ける現代の友禅のコツではないかと思います。

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写真2番目は、千切屋治兵衛の塩瀬地の名古屋帯を合わせてみました。実際に制作したのは藤岡さんで、技法は糊糸目の友禅、テーマは「恵比寿大黒」です。お太鼓に米俵に乗った大黒を、腹文に魚を釣った恵比寿を描いた帯です。私がうさぎが好きなので、どちらもうさぎにしてあります。大黒様は鼠で表現することがありますが、その鼠の耳を伸ばしたらうさぎになりました。まあ着物の柄なんて、そんな安易な作り方で良いんですね。

凝ったところはうさぎの顔です。人間の顔は、友禅ではなく友禅の完成後に仕上げ工程で墨描きするものですが、普通はあまり上手くないのです。それを避けるために十二単のお姫様は後ろを向いていることが多いですよね。なぜ上手くないかというと、人の顔を描くのは面相筆を使い、それはそれで専門の修業をしないといけないので、友禅の名人でも面相筆が使えるわけではないからです。

藤岡さんはうさぎの顔を描くのに、面相筆を使う専門家である人形師を使っています。普通の工程の中で友禅師についでに描かせてしまえば、なんとなくただで済むところ、そこだけ別の業種の人に頼めば、別にお金を払わないといけません。時間にすれば少しの仕事でも、子供の小遣いではないので、千円や2千円というわけにはいかないですよね。そういうコストアップを恐れないと、綺麗な顔が描ける、コストアップを嫌がると十二単が後ろ向きになるというわけです。

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写真3番目は、千切屋治兵衛の塩瀬地の名古屋帯を合わせてみました。実際に制作したのは藤岡さんで、技法は糊糸目の友禅と金銀箔、テーマは「梅楓」です。楓(実際は八つ手にみえますねえ)を全体が梅の形に見えるように並べ、春にも秋にも着てくださいという意匠です。

現状ではほとんどが箔加工に覆われていて、葉の間の茶色いところだけに友禅の彩色が見えますが、糊糸目の友禅で完全に描いた上に金銀の加工をしています。見えなくなってしまうところもちゃんと染めているんですね。友禅が本業の藤岡さんは、あくまで箔は加飾なんですね。刺繍と箔が本業の倉部さんは、生地にいきなり箔で加工すると思います。その結果、視覚効果が違うのか、私の目では何度見てもわかりません。

着付けの本などで、箔の帯はフォーマルだから紬に合わせてはいけない、なんて書いたものがありますが、あれは信じないでください。作者はフォーマルにしたくて箔を使うわけではなく、そこに金があるとアイキャッチになって美しいなあという芸術的な理由で箔を使うだけですから。

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写真4番目は、千切屋治兵衛の塩瀬地の名古屋帯を合わせてみました。実際に制作したのは中井亮さんで、技法は糊糸目の友禅と金銀箔、テーマは「麦」です。藍の着物に焦げ茶色の帯という配色は良く合うということを証明するために選んでみました。その焦げ茶色に金が加わって、藍、焦げ茶、金の3色になるとなお美しいということも、ついでに証明してみました。
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[ 2015/12/03 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

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