龍村の袋帯「清風間道」の帯合わせ

第三千二百六十四回目は、龍村の袋帯「清風間道」の帯合わせです。

今日は絵羽の着物に合わせてみます。紬と合わせるとピッタリ合うのでカジュアル向きな気もしますが、フォーマル系でも使えることを証明します。

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いちばん上の写真は、藤井絞の絞りの訪問着に合わせてみました。全体に蔦の模様が絞ってあるのですが、全ての模様が縫い目で完全につながっています。絞りでありながら縫い目で模様を全てつなげるのは凄いと思いますが、その一方、柄合わせが厳密で、体形太った人や痩せた人は着にくいという問題もありますね。

このような、テーマが1つではっきりした着物の帯合わせは悩みます。帯の模様に意味が有ると、蔦にもう1つの意味を足すことになるわけですが、それが蛇足になりかねないからです。その点、間道は意味が無くていいですね。ただし、色は緑系を意識して合わせています。

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写真2番目は、千切屋治兵衛の訪問着を合わせてみました。実際に制作したのは中井淳夫さんです。無線友禅とダンマル描きを併用して、深山幽谷の風景を描いたものです。ポイントになる箇所にダンマル描きで樹木を描いています。山の全景と近接の風景を同時に描いた意匠です。中井さんが緑しか使っていないのには理由があると思い、帯で色数を増やさないという趣旨です。

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写真3番目は、一の橋の単衣の訪問着を合わせてみました。新緑の風景を描いていますが、爽やかな風さえ感じる作品です。空気感まで写し取るのに成功しているのですから、上手い絵といえるのではないでしょうか。じつはこれは友禅ではなく画家系の作家による描き絵です。山の稜線や木の枝や葉は縁蓋を使ってくっきりした線を描き、山はグラデーションを多用し、両者の対比で見せています。

単衣を6月と思えば、新緑で単衣というのもずれている気がしますが、今は5月でも単衣を着ますから問題ないでしょう。裾回しを付けて袷にしても良いですし。

これも、余計な色や余計な意味を加えたくない作品ですね。着物だけで世界観が完結しているような作品は、間道みたいな帯が良いのかもしれませんね。

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写真4番目は、橋村重彦さんの訪問着「麦秋」を合わせていました。「麦秋」すなわち麦の収穫時期は、九州では5月、北海道では7月、平均して6月ぐらいですから、初夏の単衣の着物ということになりますね。これも余計な意味や余計な色を足さないことを意識して間道にしています。

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写真5番目は、千切屋治兵衛の色留袖を合わせてみました。実際に制作したのは藤岡さんで、糊糸目の作品です。模様のテーマは、江戸時代に小袖の意匠として流行した瀧模様です。正真正銘のフォーマルにも合うか試してみました。こうしてみると、間道は上流の趣味である名物裂だなあと思いますね。松の緑との色の一致が綺麗。
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[ 2015/11/14 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

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