龍村の袋帯「清風間道」の帯合わせ

第三千二百六十一回目は、龍村の袋帯「清風間道」の帯合わせです。

今日はフォーマルな着物に帯合わせしてみるということで、付下げに合わせてみます。

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いちばん上の写真は、野口の付下げ「つまみ簪」を合わせてみました。実際に制作したのは倉部さんです。刺繍だけでつまみ簪を表現しているわけですが、細工部分は金糸の駒繍、菅繍などの技法を多用して立体的な表現をしています。海外の安い刺繍は、刺繍職人を促成するため技法が少ないのです。そのため刺繍の面積は大きくても1つか2つの技法しか使われていないため、平面的に見えるのが多いですね。そこが見分けの1つのポイントです。

また、この作品は、花の細工部分と金属部分の質感の違いも表現してます。どちらも刺繍なのに、形だけでなく素材の質感まで表現できていて、留金部分は金属の感じがします。

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写真2番目は、野口の付下げ「源氏香」を合わせてみました。実際に制作したのは倉部さんです。源氏香を扇面のように変形して、花を添えた意匠です。源氏香部分は箔、植物部分は刺繍です。

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写真3番目は、花也の付下げ「笹に楓」を合わせてみました。糊糸目とダンマル描きの併用です。ダンマルは、生地に薄く置くと半防染効果が働いて、白ではなく、生地の色と白の中間色になります。一方、友禅の糊は完全に防染しますから白抜きになります。この性質の違いを利用して、半透明の笹の中に白いくっきりした線の楓を描いて、重層的な表現をしています。一部分に赤と金の目が覚めるような装飾をしていますが、それによってダンマルが持つ写生的な雰囲気から離れ、雅であるべき着物の柄に戻ってきますね。

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写真4番目は、岡重の付下げを合わせてみました。前姿に巨大な半円型の雪輪が描かれ、その中に岡重らしい気楽なお花が入っています。なんとも華やかな着物ですが、地色は意外に地味、後姿や袖は白い輪郭だけの雪輪があるだけで、ほとんど無地です。全身華やかにしてしまえば子供の着物にすぎず、全体的にバランスよく模様を配すれば京都の良い着物にすぎません。模様配置にアンバランスを作りだしているところが芸術っぽさだと思います。それが仇になって売れないのかもしれませんが。

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写真5番目は、野口の付下げを合わせてみました。実際に制作したのは橋村重彦さんです。三角の取り方の中に、琳派風のモチーフと、自分が住む花背の風景を入れたものです。伝統的な模様をモダンな入れ物にいれるいう意匠で、「新しい酒は新しい革袋に入れよ」とういう聖書の例えに逆らったものです。伝統工芸の意匠の成功例は、ほとんどこのパターンですね。

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写真6番目は、一の橋の付下げ「斜め取更紗」を合わせてみました。今まですべて、同系色を意識して緑系で合わせてきましたが、今回はちょっと変えてみました。グレーと茶色の中間のような色で、紬地の付下げです。意匠は、曲線模様の更紗を直線の斜線に閉じ込めたものです。直線と曲線の緊張関係にある着物ですが、帯が直線の見方をして、ちょっと均衡を崩してみました。
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[ 2015/11/11 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

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