龍村の袋帯「郁芳間道」の帯合わせ

第三千二百五十七回目は、龍村の袋帯「郁芳間道」の帯合わせです。

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いちばん上の写真は、重要無形文化財に指定されている久留米絣を合わせてみました。作者は小川内龍夫さんです。久留米絣には基本の緯絣だけのものも、この作品のように緯絣と経緯絣を併用して陰影を表現した精緻な作品もあります。このようなものは素朴な民芸ではなくコンクール用の作品という感じですね。

木綿の絣に龍村の袋帯を合わせる、と言葉で書けば、着物を知らない人のおぞましい着付のように思えますが、写真はそれほど違和感はないと思います。同系色の組み合わせですしね。

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写真2番目は、弓浜絣を合わせてみました。弓浜絣も創作的であり高度な技術を使って作られているものですが、使っている木綿糸は太く、絣も緯絣のみで、素朴な雰囲気を残しています。その気になれば、もっと細い糸を使って精緻な絣も作れるのでしょうし、経緯絣へと進歩することもできるのでしょうが、あえてオリジナルの味わいを演出しているのだと思います。そこに平明の美があるという思想なんでしょうね。その証拠に模様はとても絵画的で、創作的要素が強いものができるのです。

上と同じパターンですが、上の久留米絣は、細い糸の精緻な経緯絣、こちらは素朴を演出した太い糸の緯絣です。こちらの方が、龍村のパートナーとして不似合いなはずですが、着れば何とかなっちゃう、というところでしょうか。

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写真3番目は、かつての重要無形文化財に相当する結城紬を合わせてみました。百亀甲飛び柄です。地色は水色で、帯とは同系色濃淡になりますね。紬はカジュアルだからカジュアルな帯を締めるべき、というところですが、高い紬には貫禄のある帯を締めたいですね。そんな人の気持ちを考えて帯合わせしてみました。マニアには尊敬される帯合わせだと思います。

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写真4番目は、山口良子さんの首里織の着尺を合わせてみました。福木で黄色く染めた糸で織った花織ですが、地の糸が変化して紋織を作る花織と、地の糸とは別の糸を差し入れて織る浮織を併用しています。

沖縄伝統の福木による草木染なのに、キンキンするほど黄色い織物です。手紡ぎの糸そのものに美しい光沢があるからそう見えるのと、成功している草木染の色は鮮やかということなのです。化学染料の無い時代、人々は草木染だけで出来るだけ鮮やかな色を出そうと努力してきたにちがいありません。化学染料みたいな色こそ草木染の目標で、それに失敗すると草木染らしい滋味な色になったのではないでしょうか。

このような織物は、地方の珍しい織物ではなく、琉球王国の中心である首里城で着る官服です。琉装には帯はないですが、帯を締めるなら龍村の袋帯でちょうど良いと思います。

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写真5番目は、読谷花織を合わせてみました。読谷花織は「花織」という名前ですが、地の糸ではなく別の糸を差し入れて紋織を作る織物ですから、織物組織の分類では「浮織」ということになります。それに手結の絣を併用した精緻な織物で、これも元は琉球王家の官服ですね。格でいえば、帯を合わせるなら龍村で良いはずですが、どうでしょうか。
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[ 2015/11/07 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

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