千切屋治兵衛の絽の着尺を使った帯合わせ

第二千五百十六回目は、10月19日(二千五百十二回)で紹介した千切屋治兵衛の絽の着尺を使った帯合わせです。

この絽の着尺は、写真に撮ると地味なグレーに見えてしまいますが、本当はティファニーのイメージカラー(ティファニーブルーと言われる色ですね)のようなミント色です。

着物の意匠は縞ですから、合わせる帯の模様については、縞でさえなければ何でも大丈夫でしょう。今回は絵画性の高いものということで、友禅の染め帯を使います。

IMG_5829.jpg
いちばん上の写真は、野口の夏の友禅の名古屋帯を合わせてみました。織物の組織としては経絽ですが、隙間率の高い、ちょっと野趣のある生地です。隙間の多い生地は、全部染めたつもりでも隙間部分が染められていないので、深い色が表現できない場合が多いです。この帯は、それを計算に入れて鮮やかすぎる色で染めて、結果としてちょうどよくなっています。

色については、同系濃淡のミント色です。模様の朝顔が紫色で補色的な関係になるので、それがメリハリになっています。

IMG_5832.jpg
写真2番目は、野口の絽ちりめん地に絞りの帯を合わせてみました。絞りを人為的にコントロールして、朝顔と雀を表現したもので、絞りで表現しきれない雀の細部は描き絵で補っています。辻が花の様式ですね。

地色が濃い紫で、着物のミント色とは補色的な雰囲気ですから、メリハリがきいています。

IMG_5834.jpg
写真3番目は、花也の絽ちりめんの友禅の名古屋帯を合わせてみました。友禅は花也らしくホンモノの糊糸目で、楕円取りの中に柳と笹が描いてあります。ここで合わせた理由は地色の黒で、薄い地色の着物に対し、黒地の帯でメリハリをつけることを狙ってみました。

IMG_5840.jpg
写真4番目は、野口の絽の名古屋帯を合わせてみました。塩釜をテーマにしたものです。塩釜とは、百人一首にある「来ぬ人をまつほの浦の夕なぎに焼くや藻塩の身もこがれつつ」にあるような、塩の製法を恋愛に例えたものです。

ここでは身も焦がれる恋愛ではなく、地色のクリーム色を着物のミント色と対比させることだけを目的として選んでみました。補色的ではありますが、明るい色どうしです。蔦の配色が緑・紫・辛子色という典型的な野口のイメージカラーで、それがメリハリになっています。

IMG_5837.jpg
写真5番目は、花也の変わり織の絽の名古屋帯を合わせてみました。花を糊糸目、流水をダンマル描きで描いたものです。花也らしく、メリハリよりも上品で勝負する作品です。

IMG_5835.jpg
写真6番目は、加賀友禅作家で加賀友禅技術保存会正会員(石川県無形文化財)である高平良隆さんの素描気の帯を合わせてみました。加賀友禅作家が友禅でない技法で描いたものです。加賀友禅作家になろうという人は、たいてい元は画家を目指していた人ですから、こういう作品もあり得ます。
スポンサーサイト
[ 2013/10/23 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://shirokiyagofukuten.blog.fc2.com/tb.php/78-06cebc28