花也の手描きの着尺(飛び柄の小紋)「笹の丸と羊歯文」の帯合わせ

第三千二百十一回目目は、花也の手描きの着尺(飛び柄の小紋)「笹の丸と羊歯文」の帯合わせです。

昨日まで、織の名古屋帯と合わせてきたので、今日は染の帯を合わせてみました。

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いちばん上の写真は、千切屋治兵衛の友禅の名古屋帯「松重ね」を合わせてみました。実際に制作したのは、中井亮さんで、尾形乾山の陶器の箱の意匠に取材したものです。構図も色もシンプルな絵ですが、その割に存在感があります。その秘密は、染料に微妙に顔料が混ざっていて色自体が強い、染料の上から、光らない程度に微妙に箔加工がしてあって、さらに重みのある表現になっている、の2つだと思います。

見た目にも色に存在感があるのを感じますが、ちゃんと仕掛けがあるのです。

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写真2番目は、加賀友禅作家、中町博志の名古屋帯「重陽」を合わせてみました。黒地に黄色の一度見たら忘れない菊の絵です。技法も伝統的な糊糸目ですし、テーマも花の形も江戸時代の掛け軸にもあるような古典的なものです。でもモダンで創作的に感じてしまうのは、中町さんの才能ですね。

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写真3番目は、野口の友禅の名古屋帯を合わせてみました。しぼの大きい縮緬地にゴム糸目の友禅で琳派風の草花を描いたものです。辛子色の地色に、濃紺と紫の配色はまさに野口のスタイルです。世間では若い人は派手な着物を着、歳をとると地味な着物を着ることになっていますが、野口は朱系の派手な色を使わないで華やかな着物を作ることができます。そのおかげで、地味な着物を着る年齢になっても華やかな着こなしができるんですね。

普通の常識では、派手な着物は華やかで、地味とは反対のものだと思ってしまいますが、野口は地味で華やかを可能にしたのです、そこが野口のいちばんすごい革新で、今のユーザーが求めるものと合致しているのではないでしょうか。うちで売れる着物も、地味なくせに華がある着物です。一見、矛盾するようでとても難しいのですが、私はいつもそれを探していますし、野口はそのヒントをくれますね。

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写真4番目は、花也の後染め友禅と刺繍の名古屋帯を合わせてみました。いつもの花也とは違うゴム防染による作品です。ゴム防染で白揚げの模様を作り、地色に合った彩色をわずかにしつつ、さらにその色に合った刺繍をしたものです。その過程でグラデーション効果も考慮されています。

なぜ糊糸目ではないのか、それは完璧な配色とグラデーションを作るためです。糊糸目では地色を染める前に模様の色を染めるので、完全に色を馴染ませるのは難しいのです。ゴム糸目であれば、先に地染めがしてあるので、模様の色を締める時にぴったり合わせることができるわけです。作品にとって大事なことは、伝統的な技法を使うことではない、美しいものを作ることなんだ、ということを、いちばんらしくない花也が教えているんですね。

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写真5番目は、花也の白揚げ友禅と刺繍の名古屋帯を合わせてみました。白揚げの友禅で亀甲のような模様を描き、その上から刺繍をしています。亀甲模様は「アールヌーヴォー亀甲」というらしいのですが、おそらくアールヌーヴォーと同時代か少し後の明治時代、ヨーロッパでアールヌーヴォーというのが流行っているらしいぞ、と知った図案家が考案したのだと思います。おかしいですが、それも日本のデザイン史ですね。
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[ 2015/09/22 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

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