八重山上布の名古屋帯の続き

三千二百二回目は、八重山上布の名古屋帯の続きです。

今日はまず、昨日掲載した証票の写真をご覧ください。品質表示の「経・麻(苧麻) 緯・手績み苧麻糸」とあります。下の4枚の写真をどれでも良いので見ていただきたいのですが、経糸と緯糸が、素材は同じように見えますが形状が違うのがわかりますか。

緯糸は、撚っていないでただ束ねただけのように見えます。これが「手績み」です。それに対し経糸はもう少ししっかりと撚ってあるように見えます。経緯の糸で「手績み」の表示の有無を分けているわけですから、経糸は「手績み」ではないわけです。

織物ファンの理想は、「糸は手紡ぎ(手紬、手績み)、絣は手括り、染めは草木染」ですから、できれば「手績み」の比率が高い方が良いですよね。近世以前の織物なら、すべて手紡ぎあるいは手績みでしょうが、現代の織物は経糸だけはちゃんと撚ってあるものが多いです。緯糸は幅の37cmだけをしっかり保つ強度があれば良いわけですが、経糸は着尺なら12mしっかり保つ強度がないといけないからでしょう。強度が無くても生地が崩壊するとは思いませんが、細かい絣が合わなくなるのではないでしょうか。

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いちばん上の写真は、バンジョーの模様の一部分で、藍染の経糸がグラデーションになっている部分の拡大です。昨日の近接写真で探していただくと、藍色が経方向に消えていくところですね。

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写真2番目は、バンジョーの模様の一部分で、グール染の緯糸がグラデーションになっている部分の拡大です。昨日の近接写真で探していただくと、茶色が緯方向に消えていくところですね。

上の写真もこの写真もどちらも長い見事なグラデーションです。織物ファンのイメージでは、絣足のグラデーションは、伝統的な手括り防染の技法上の特性から生じるものではないでしょうか。まさにホンモノの証拠ですよね。しかしながら、ここでは、防染の藍も捺染のグールも同じぐらいのグラデーションになっています。つまり、グラデーションの具合というのは、技法の特性ではなく、作者の意図、すなわち演出に過ぎないのだと思います。作者は、ここは明快にしたいと思えばくっきりさせるし、ここは暈したいと思えばグラデーションにするのです。

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写真3番目は、バンジョーの模様の茶色い方のうち、経糸と緯糸の絣が交わって、経緯絣になるところの拡大です。地色部分、地色と茶色が半々で中間色の部分、経緯ともに茶色の部分の4通りが見られます。

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写真4番目は、鋏の部分の拡大です。緯糸が藍の絣糸ですが、1本飛ばしになっていることがわかります。×字が交わるところでは、完全に緯絣になるんですね。拡大せず普通に見ると、色の濃淡として認識されるわけです。
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[ 2015/09/13 ] 各地の絣・紬 | TB(0) | CM(0)

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