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龍村の袋帯「七宝連花錦」の帯合わせ

三千百九十六回目は、龍村の袋帯「七宝連花錦」の帯合わせです。

昨日、訪問着までは合わせられるということは確認したので、今日は付下げに合わせてみます。付下げでも、実質的に訪問着と変わらないものについては問題なく合うと思いますが、訪問着的でない洒落ものや、カジュアルに近いものはどうでしょうか。

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いちばん上の写真は、野口の付下げを合わせてみました。色紙散しの意匠で、色紙の中には花鳥画が描かれています。花鳥の種類については四季のバランスがとれていて、1枚持っていればフォーマルの場はすべてカバーしてくれる着物です。年齢的には20代で買って40代まで着るのが理想ですね。着物に興味が無い人が、世間の付き合いで1枚買うのにちょうど良い着物ではないでしょうか。

こういう着物については、この龍村はピッタリですね。振袖用の帯として買い、その次に結婚後も意識してこんな着物(訪問着的な付下げ)を買って、帯は使い続ける、というのがいちばん合理的ではないかと思います。

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写真2番目は、野口の付下げを合わせてみました。用途としては、上の付下げとほぼ同じですが、友禅主体の多色で絵画的な作品を合わせてみました。

上の付下げのような色紙散しの意匠は、色紙という取り方にすべての模様が閉じ込められているため、絵画としては寸断され、自由な展開は抑制されています。着物の柄というのは、絵画ではなくデザインです。絵画ではなくデザインである以上、思いのままに絵を描けばいいというわけではないですが、色紙散しに代表される取り方は、下絵師の思いを抑制する手段でもあるのでしょうね。

帯の意匠自体が、華文という円形に閉じ込められる取り方でもあるので、自由に展開する絵画的な意匠の着物も良いですね。

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写真3番目は、野口の付下げを合わせてみました。実際に制作したのは、岡本等さんです。教会か城館の窓(銃眼のようでもありますね)から、外の景色を見るという意匠です。景色はロマーニャ地方でしょうか。モナリザの背景とか、ローマやフィレンツェの画家の描く絵の背景に似ているからです。エキゾチックな意匠はどうかということで合わせてみましたが、帯の華文はもともと日本人が考えたものではなく無国籍的ですから、違和感はないですね。

窓が取り方になって、その中に景色が入っている取り方模様ですが、同時に余白部分にはみ出すように更紗が絡まされており、取り方的な意匠と展開する意匠の中間になっています。

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写真4番目は、花也の色留袖を合わせてみました。海中に3つの松島が描かれた図案です。描かれているのは波と松島ですが、波は静かで風が吹く様子もなく、船など人間の痕跡も無く、鳥もいないので近くに陸地もないのでしょうね。「鳥も通わね」というところから、俊寛を連想する方もいますね。私は見ていると心が落ち着きます。

色はほとんど無彩色で、効き色として松の朱色だけが使われています。華麗な龍村の帯とは反対の世界ですが、着物を着ることは哲学ではないから、それでよいのではないかと思います。

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写真5番目は、花也の付下げを合わせてみました。和本というモチーフは、謡曲の本として江戸時代の小袖にも登場します。文芸ものといわれるジャンルで、その謡曲とそれをテーマにした絵が、ページをめくると現れるという設定で描かれています。複数の和本が描かれ、3冊に1冊ぐらいが挿し絵のページになっているんですね。

この花也の和本は、挿絵のページも文字のページもなく、開いたページは型疋田と摺箔のみです。意外に絵画的要素が少ないのが、友禅の着物としては斬新ですね。
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[ 2015/09/07 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

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