龍村の袋帯「七宝連花錦」の帯合わせ

三千百九十五回目は、龍村の袋帯「七宝連花錦」の帯合わせです。

華やかな袋帯なので振袖専用とも思われますが、昨日の写真例を見ると、帯がむしろ大人しく見えます。華やかですが若い人しか使えないというものではないんですね。そこで今日は訪問着と合わせて大人でも使える寿命の長い帯だということを証明してみます。

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いちばん上の写真は、千切屋治兵衛の訪問着を合わせてみました。実際に制作したのは中井淳夫さんです。取り方を使って、梅の蕾~桜~椿~杜若というように春の花が展開していきます。中井さんにしてはひねりのないテーマに思いますが、じつは写真で上手く写っていないだけで、余白全体にダンマル描きで女郎花が描いてあるのです。

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写真2番目は、大羊居の色留袖を合わせてみました。花兎文をテーマにした色留袖です。余白の多いすっきりした図案です。模様も色彩も満載なのが大羊居というイメージもありますが、すっきりもまた大羊居の特長ですね。すっきりしていても存在感があって、模様が少ない感じはしないんですよね。

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写真3番目は、橋村重彦さんの訪問着を合わせてみました。橋村さんが野口の専属の作家だったころの作品で、模様の配置は現代の訪問着の形式ですが、それ以外はほぼ実在する江戸時代の小袖を再現しています。橋村さんは作家として独立する前は、千總の高級品を作っていた高橋徳にいたこともあり、その後は中井淳夫さんの彩色担当でもあったわけですが、そのような経歴の人が小袖写しを作ると、千總の様式が小袖の延長であることもわかりますし、中井の色が作家の個性ではなく正統な日本美術の色だということもわかりますね。

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写真4番目は、安田の訪問着を合わせてみました。北秀の商品として制作されたものです。龍村といえば大彦・大羊居と合わせることが多いので、それとは全く違う価値観でつくられた安田と合うか試してみました。霞がテーマで、小さな霞を模様単位として多数散らしています。その霞模様は細密な友禅や描き疋田の取り方となっています。

使われている色は、地色の銀鼠色と、赤茶色と箔の金だけですから、色彩より糊糸目の美しさで勝負する作品です。色彩豊かな大彦や大羊居とは反対の作品ですが、全く違和感はなく、龍村の運用範囲の広さがわかります。
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[ 2015/09/06 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

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