龍村の袋帯「七宝連花錦」の帯合わせ

三千百九十四回目は、龍村の袋帯「七宝連花錦」の帯合わせです。

龍村といえば、一般には、第一礼装でしかも豪華というイメージですが、これはまさにそんな帯ですから、とりあえず振袖用として使ってみます。

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いちばん上の写真は、松井青々の振袖に合わせてみました。松井青々といえば、バブル時代に京都丸紅主催の「美展」で300万とか500万とかで売っていたイメージです。当時、すごく流行し「青々調」といわれる類似品がたくさん作られました。「青々調」と明記されていましたから、ニセモノを作っているという意識ではなく、松井青々が確立した様式として尊敬されていたんだと思います。

その特長は振袖にもっともよく現れています。辻が花の要素を引き継いだ大きな面積の桶絞りの中に、友禅、箔、疋田、刺繍など京友禅に有るすべてを盛り込んだもので、この作品がその典型です。それだけ盛り込めば、ごたごたして野暮なものになりそうですが、実物を見ると、意外にすっきりして上品です。時代を席巻したホンモノとはそういうものなのでしょう。「青々調」はごたごたして野暮い割りに存在感が無いです。

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写真2番目は、藤井絞の振袖に合わせてみました。疋田絞りを多用して梅を作画したものです。疋田絞りといえば竹田庄九郎や藤娘きぬたやの有松の絞りが有名ですが、それらは全面が疋田絞りで埋め尽くされている野に対し、京都の藤井絞の疋田は余白が多いです。その代わり、色は京友禅を思わせますね。

昔の価値観であれば、全面疋田絞りは「総鹿子」と呼ばれ至高の価値を持つものでしたから、有松の方が価値があるということになったでしょうが、今は人件費の安い海外で安く絞るという手があるので、その価値も曖昧なものになってしまいました。選ぶときは、手間が云々よりも純粋にセンスで選んだほうが良いと思います。

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写真3番目は、野口の振袖に合わせてみました。大きくて色鮮やかな宝尽くし文様です。パーティーでは遠目も効きますし、集合写真では細密な友禅よりも総鹿子よりも目立つでしょう。そしてホンモノの友禅でないと安物飛ばれてしまう、ごまかしのきかない作品ですね。

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写真4番目は、千切屋治兵衛の振袖に合わせてみました。今日の4点の中では、唯一の型糸目の標準品ですが、今回の帯合わせで、いちばん気に入っているパターンです。鴛鴦をテーマにした作品として、黄緑地、黒地など数パターンが作られましたが、これは市松地にしたものです。背景を変えると雰囲気が全然変わりますね。
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[ 2015/09/05 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(2)

野口の振袖

いつも楽しみに拝見しています。
野口の振袖、素敵ですね。娘の成人式は終わっってしまいましたが、こんな着物を着せてみたいと憧れます。
教科書のようにフムフムと読ませていただいていますが、ユーモアを感じる楽しい先生の授業を受けているようです。
京都の帯屋さんがブログの中で尊敬し勉強になるブログとして紹介されていました。地方都市に住む私ですがこれからも楽しみに拝見させていただきます。
[ 2015/09/05 18:37 ] [ 編集 ]

野口はモノづくりが上手いですね

4枚ともそれぞれ別の個性を持った作品で、どれが良いとも言えませんが、私自身の趣味で選ぶとしたら、やはり野口だろうと思います。野口のセンスというのは真似してもできないですよね。この振袖にしても、「宝尽くし文様を大きく描いて散らす」ということは誰でもできそうですが、こういう雰囲気の作品を他で見ることはないです。
帯匠洛都さんは、お会いしたことはないですし、これからもないでしょうが、あの人のメルマガは読んでいました。とても面白いですし、失敗してもそれを楽しんでいるところが、企業家として素養があるなあと敬意を感じています。でも世の中には底知れぬ悪意を持つ人がいるので、悪い人に足をすくわれないといいなあ、と思っていますけどね。
[ 2015/09/08 01:21 ] [ 編集 ]

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