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龍村の袋帯「七宝連花錦」の続き

三千百九十三回目は、龍村の袋帯「七宝連花錦」の続きです。

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いちばん上の写真は近接です。この帯の意匠では、華文の重なる部分はグラデーションになって消えています。グラデーション表現は、友禅であれば染料を薄めてぼかすのでしょうし、絣であれば防染の際の圧力を加減するのでしょう。西陣のばあいはどうでしょうか。

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写真2番目は、グラデーション領域の拡大してみました。西陣の織物でグラデーション表現をするときは、絵緯糸の表面に出ている部分を減らして行くんですね。この裏面では渡り糸が増えているのでしょう。

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写真3番目は、成分表示です。絹75%、ポリエステル(金属糸風)13%、指定外繊維(紙)7%、レーヨン5%とあります。絹の割合が少ないと、金銀糸の割合が多いのですから、金銀に光るフォーマル系の帯になります。この帯は絹が75%しかありませんから、完全なフォーマルですね。

指定外繊維(紙)は本金糸の裏の和紙でしょうから、その割合が多いとホンモノ感があってうれしいですね。これは7%あるのでまずまずです。もちろん、本金糸の裏の和紙ではない紙もあるでしょうが、これは龍村ですから信じて良いでしょう。

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写真4番目は、朱色の花の部分の拡大です。朱色の花に光沢があるのは、絹の自然な光沢ではなく金糸が隠してあったのです。伝統工芸的な発想では、より品質の高い絹を使ってホンモノの光沢で勝負しろ、ということになるのでしょうが、西陣的な発想では金糸を混ぜて光らせるのです。映画の特撮みたいな即物的な発想ですよね。

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写真5番目は、青色の花の部分の拡大です。青色の花に光沢があるのも、絹の自然な光沢ではありません。こちらは金糸ではなく青いポリエステルフィルムが隠してあります。朱を光らせるのは金でもできますが、青を光らせるには人工物の力を借りなくてはダメなのでしょう。伝統工芸的発想では、越後上布なら苧麻というように、素材の正当性が先に来ますが、西陣では創作のためには素材は自由なのです。西陣の方が純粋な芸術的発想に近いとも言えますね。

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写真6番目は、金色の部分の拡大です。金の地の上に金で模様を描くと、同じ色なので模様が見えません。そんなときは、平金糸と撚金糸を分けて使います。色の違いで作画するのではなく、糸の形状の違いで作画するんですね。形状が違えば、光の反射方向が違うので、絵として見えるわけです。
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[ 2015/09/04 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)

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