千切屋治兵衛の飛び柄の着尺(小紋)の帯合わせ

三千百七十九回目は、千切屋治兵衛の飛び柄の着尺(小紋)の帯合わせです。

更紗模様の着物の欠点は、松竹梅のような純粋な和風のテーマの帯が合わせにくいところです。しかし、実際に帯合わせをしてみると、更紗の帯が合わせられないことのほうが不便ですね。更紗は、唐草とは本来異なるものですが、実際にはどちらも曲線の植物文ですから同じように見えてしまいます。そして更紗と唐草を合わせると、西陣の帯の中ではかなりの比率になりますから。

純粋な和風もダメ、更紗も唐草もダメということになると、帯合わせは少し困難になりますね。和風ではあるが、松竹梅鶴亀のようにいかにも和風と言うほどでもなく、なんとなく和風な帯を合わせるか、エキゾチックをさらに推し進めて、象や鸚哥や外人そのものを合わせるしかないですね。今日は、エキゾチックを推し進め、更紗を飛び越してダイレクトな外国モチーフを合わせます。

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いちばん上の写真は、龍村の名古屋帯「木画狩猟錦」を合わせてみました。正倉院御物の木画とは、木に違う種類の木を嵌め込んで作画する木の象嵌です。この狩猟文は、「韃靼人狩猟文」などとして(この木画は胡人でしょうね)、近世まで繰り返し画題にされます。日本人に好まれて定着したということだと思います。

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写真2番目は、龍村の名古屋帯「アンデスの神」を合わせてみました。アンデスと言えばインカですが、インカというのは、この地域がスペイン人に征服される直前に有った帝国にすぎず、それ以前に多くの文明があって、プレインカ文明と総称されます。これはその1つのチャビン文明のデザインではないかと思います。

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写真3番目は、龍村の名古屋帯「豊穣文」を合わせてみました。エジプトの王家の谷のある遺跡の1つの壁画だと思います。収穫がテーマですから、季節でいえば秋でしょうか。秋にいかにも秋らしい帯を合わせるのではなく、情緒の全然違う外国風景を合わせ、よく考えたら秋だった、というのも面白いと思います。

また収穫されているのは小麦ですから、麦秋ということで6月、あるいはビールに関連づけて着ることもできると思います。ビール会社の社員でもないと、ビールのイベントもないと思いますが。もちろん、エジプトテーマで博物館も良いと思います。

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写真4番目は、大西勇の袋帯「正倉院臈纈屏風」を合わせてみました。正倉院御物である臈纈屏風に取材したものです。正倉院の染織品は、織物は現代と変わらない精緻なものですが、臈纈は素朴なタッチなのが魅力です。この帯は西陣ですからもちろん織物ですが、芸能人のヘタウマの絵みたいで、元作品のタッチを再現しています。

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写真5番目は、山鹿清華の袋帯「孔雀文」を合わせてみました。山鹿清華の本人の作品は「手織錦」といい、作品数も少なく高価なものですが、これは本人監修のライセンス作品としてつくられたものです。織物というのは、本人モノも監修モノも本来同じなので、落款などで見分けるのみだと思います。
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[ 2015/08/19 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

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