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東京の刺繍の名古屋帯「和楽器」の帯合わせ

三千百七十二回目は、東京の刺繍の名古屋帯「和楽器」の帯合わせです。

今日は染の着尺(小紋)に合わせてみます。コンサートや観劇は、小紋を着ることがいちばん多いのではないかと思います。

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いちばん上の写真は、野口の飛び柄の着尺に合わせてみました。輪郭線だけが型で内部は手描きで染めているものです。内部を手染めすることに着目して「手挿し」という場合もありますし、輪郭が型であることに着目して「型糸目」という場合もあります。

余白の多い飛び柄の着尺は、帯合わせがいちばん楽な着物ですね。失敗するとしたら帯と着物で花の種類が重なることでしょう。着物の模様というのはたいてい植物文が付いてきますから、この帯のように模様が花でないというのは、すごくありがたいことです。

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写真2番目は、藤井絞の着尺を合わせてみました。絞りというのは、原理的には、生地を摘まんで、糸で縫うなどして圧力をかけて防染し、染液に浸け、染料が入り込まなかった部分が模様になるわけです。濃い地色の中に相対的に淡い色の模様があり、その模様が花のような丸い模様であれば絞りやすいですから、カルチャーセンターでもできるんじゃないでしょうか。

この作品のように、模様の方が濃い色のばあいは、模様ではなく地の方を絞っていることになりますね。さらにこの雀のように、模様に輪郭があって2色になっている場合は、外側の水色の部分はどう絞るのでしょうか。絞った後、染料に浸けず、筆で着彩してしまうのなら何でもできるわけですし、現代の辻が花作家にはそういうものが多いのです。

しかし、藤井絞のように専業の絞りの職人さんを抱えている会社は、絞り本来の技術を持っています。以前、このような複雑な絞りの工程を写真で紹介したことがありますが、なるほど、というものがあります。読者の方が、もう当時の方と入れ替わっているかもしれないので、そのうちまた紹介してみようかと思っています。

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写真3番目は、野口の着尺を合わせてみました。大きな模様で、しかも余白の無い総柄の着尺というのは、もっとも帯合わせしにくいものです。そのもっとも難しい課題にチャレンジしてみましたが、けっこう良い感じではないでしょうか。

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写真4番目は、野口の着尺を合わせてみました。横段模様は、個性があってパーティー着にするとかっこいいですが、帯合わせは難しいですね。特に、柄部分が帯と直接接すると難しいですが、その難しいケースにチャレンジしてみました。もうこの帯は万能ですよね。

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写真5番目は、野口の着尺を合わせてみました。縦縞に大きな花模様という、個性の強い着尺です。帯合わせは難しいはずですが、やはり万能を証明する結果になりました。この帯の万能の理由は、地色が黒、花模様でない、余白がある、ということでしょう。余白があっても存在感があるのは刺繍であるための模様自体に重みがあるためです。友禅では模様に重みが無いので、意匠の面白さで勝負することになり余白が確保できなくなるのです。
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[ 2015/08/12 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

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