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紫紘の袋帯「ポピー」の細部

三千百六十三回目は、紫紘の袋帯「ポピー」の細部です。

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いちばん上の写真は、赤いポピーと赤白のポピーの近接です。

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写真2番目は、赤いポピーの拡大です。鮮烈な赤と白のコントラストがこの作品のテーマみたいなものですが、この鮮烈さは色から来るだけではありません。白は地の組織であるのに対し、赤は絵緯糸(えぬきいと、織物の構造や強度に貢献せず、模様表現のためにだけある緯糸)による表現であり、立体性があるのです。

こうして拡大してみると、サスペンスドラマで床に血が流れてくるように見えるでしょう。そんなことを書くと、実際に買う人は嫌かもしれないですが、そのぐらい人間の感性を揺さぶる要素が無いと良い作品にはなれないですよね。

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写真3番目は、茎の拡大です。右側の赤白のポピーの茎を拡大したものです。茎に濃淡2種類の色があることは普通に見てもわかりますが、それを拡大してみると、薄い方は普通の絹糸、濃い方はポリエステルフィルムであることがわかります。両者の違いは光沢、すなわち絹の自然な光沢とポリエステルの人工的な光沢ですね。

ドラマの演出に例えれば、自然をそのまま撮っているかに見えて、じつは特撮も併用している、ということです。

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写真4番目は、白いポピーの拡大です。地の組織も白、花も白で色が同じですから、両者の違いは立体性しかありません。花の輪郭線がちゃんと見えるか、少し心もとないと思ったのか、両者の境界には銀糸が織り込んであります。

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写真5番目は裏側です。裏は緑と銀に見えます。緑は、色が薄い方の茎の色ですから、わずかな茎の表現のために全体に渡り糸が通っていることになります。もっと驚くのは銀色に光っていることで、白いポピーの花の輪郭線に使う僅かな銀色の表現のために、全体に銀糸の渡り糸が通っているのです。

これは作り手にとっては、相当のコストアップ要因です。白いポピーに銀糸の輪郭線が無くては、絵として絶対成り立たないというわけではないのですから、銀糸を省略してコストを減らすこともできたはずです。それで値下げした方が売りやすかったかもしれません。私が制作者なら銀の輪郭線などやめてその分値下げするんじゃないかと思います。でも紫絋さんはそうしなかった、ということです。どちらが正しいかはわかりません。
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[ 2015/08/03 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)

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