花也の「蝋たたき」または「撒き蝋」の着尺の帯合わせ

三千百三十六回目は、花也の「蝋たたき」または「撒き蝋」の着尺の帯合わせです。

昨日は多色の友禅の帯を選んで合わせましたが、今日は色数の限定されたものを合わせてみようと思います。

IMG_59181.jpg
いちばん上の写真は、花也の名古屋帯「羊歯の丸」を合わせてみました。羊歯というのは、日陰のじめじめしたところを好む陰気な植物のイメージですが、枯れないという意味で縁起が良いとされています。枯れないのですから季節もありませんしね。

一般的には「シダ類」などと言いますが、「類」というのは科学的な分類にはありません。科学的な分類はあくまで「界門綱目科属」で、その分類にしたがえば「シダ類」というのは、門にまたがる大きなグループになります。そのため形もさまざまで、着物の意匠としてはとても都合が良いのです。この作品にも2種類のシダが描かれていて、一方は糊糸目で輪郭を取って防染した本来の友禅染、もう一方はさらに難易度の高い線描きで表現されており、とてもバランスが良いですが、どちらもシダなんですね。

IMG_59211.jpg
写真2番目は、野口の染め帯を合わせてみました。青系の濃淡を生かして、すっきりと更紗が描かれています。多色にしたら平凡な作品だと思いますが、青系の濃淡にしたことで、個性もありますしすっきりした美しさもあります。糸目はゴム糸目で、こういうときはくっきりすっきり仕上げるのが良いのでしょうね。

IMG_59321.jpg
写真3番目は、以前は秀雅から仕入れていましたが、今は千總から仕入れている東京の刺繍の帯です。全然、千總の作風とは違うし、なんで東京なんだと思われるかもしれませんが、このような作風は、本来は千代田染繍が制作し、北秀が販売していたのです。その北秀が破産して、元社員が秀雅になったり、千總に転職したためにあちこち広がったのです。

疋田は型ではなく、堰出し友禅です。1粒ずつ手で置いているので、微妙な揺らぎがあるのが特長です。ただし、本家の千代田染繍のものは糊糸目であったのに対し、周辺のもの(千代田染繍の元職人が独立して始めた工房など、詳細はわからない)は、ゴム糸目が多いですね。

刺繍は東京の職人さんによる手刺繍です。刺繍というのは、友禅のような設備が要らないし、染料を垂れ流すようなこともないため、家の一室でもできます。分業する必要もない個人の作業ですから、上手い人もそうでない人も自分のペースで出来るんですね。そのため、プロと趣味の中間ぐらいでやっている人が東京でも結構いるのではないかと思います。

中国やベトナムに刺繍を発注するようなビジネスは、採算が合わなければ止めてしまいますが、東京で自分のペースでやっている個人は、経済環境の変化にも強く、染織文化の担い手として心強いのではないかと思います。

IMG_59301.jpg
写真4番目は、花也の京繍の名古屋帯を合わせてみました。淡い地色に淡い色で上品に華文を描いた作品です。華文の形に防染し、淡い黄色と水色を彩色し、さらに染色と同色で刺繍をして立体感を演出したものです。白い色の部分にも白い糸を使って刺繍がしてあります。

IMG_59281.jpg
写真5番目は、藤井絞の辻が花の染め帯を合わせてみました。鋭角が綺麗に染め分けられた松川菱ですね。本歌は瑞泉寺裂よ呼ばれるもので、瑞泉寺が江戸時代に入手したものということです。「江戸時代」とわざわざ言わないといけないのは、瑞泉寺は秀次の夫人たちを供養するために作られた寺だからです。怨みのこもった小袖の裂ではないんですね。
スポンサーサイト
[ 2015/07/07 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://shirokiyagofukuten.blog.fc2.com/tb.php/701-b69a6572