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花也の「蝋たたき」または「撒き蝋」の着尺

三千百三十四回目は、花也の「蝋たたき」または「撒き蝋」の着尺を紹介します。

蝋による防染効果をつかって抽象的な模様を表現した着物です。このような技法は、独立した作品として使われることもありますし、友禅模様の背景として使われることもありますね。同じような点々の模様に見えても、技法の名前としては、撒き蝋(蒔蝋)、蝋たたき、蒔糊などがあります。ロウケツ染の蝋を使うか、友禅の糊を使うかで、蝋と糊が違うのはわかります。しかし、撒き蝋と称する作品と、蝋たたきと称する作品には、区別がつかないのもありますね。

撒き蝋というのは、筆の先に付けた蝋を振って撒くのだろうと思います。また、蝋たたきというのは、筆の先に付けた蝋を生地にたたきつけるのだろうと思います。しかし実際の作業は、作家ごとに違うでしょう。日々作業をしていれば、より美しく見えるように工夫するでしょうし、それを他の作家にばれないように企業秘密にすることもあるでしょうから。

ついでながら、「蒔糊」と言えば森口華弘ですが、「蒔糊」という言葉自体も森口華弘の造語です。糊を撒くのだから「撒き糊」ではないかと思いますが、「蒔絵」のイメージで「蒔糊」と名付けたそうです。撒き蝋については、「蒔糊」に影響を受けた「蒔蝋」と「撒き蝋」の両方の表記があるようです。蒔糊については、森口華弘の影響が絶対のようで、「撒き糊」という表記をする人は見たことはありません。

森口華弘の蒔糊というのは、糊が固まってから割って撒くということですが、撒き蝋のばあいは、筆の先に付けて飛ばすなら、まだ液状で、生地に定着してから固まることになります。その違いは大きいでしょう。固まってから割って撒けば、点々の先端は鋭角になることもあり得ますが、生地に落ちたときに液状ならば鋭角にはならないでしょうから。それだけで、完成した時の雰囲気は違うと思います。

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いちばん上の写真は、反物の幅を写真の幅として撮ってみました。こうしてみると、大事なのは配色だと思います。

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写真2番目は近接です。撒き蝋または蝋たたきは、筆に蝋を付けて飛ばしたり、たたきつけたりすることになっていますが、この作家は、手でハンドルを回すと、蝋が飛び出す竹製の道具を使っていると聞いたことがあります。それは、たぶん本人が工夫して制作した道具で、見せてくれることはないでしょう。

作家ごとにいろいろ工夫し、それを秘密にしているなら、撒き蝋とか蝋たたきとか定義しても無駄ですね。点々の粒は、大きさや配置が揃いすぎたら人工的になって面白くないですが、違いすぎても見ていて目が落ち着かないでしょう。それも全部計算して、人間の目に心地良いものを作るのが作家の仕事だと思います。

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写真3番目は、反物の端の近接です。反物の端を見ると、クリーム色、ピンク色、グレー色の3回引き染されていることがわかります。まず白生地に蝋を撒き、クリーム色を引き染し、また蝋を撒きピンク地を引き染し、また蝋を撒きグレー色を引き染するわけですね。最後に蝋を洗い流すと、蝋が撒かれた時の色の層により、白い点々、クリーム色の点々、ピンク色の点々が現れるわけです。

3回蝋を撒いて、ちょうどバランス良くなるようにするわけですから、最初は撒きすぎちゃあいけないですよね。しかし、染料による浸食によって消えたり小さくなったりする点々もありますから、多めに撒いておく必要もあります。作家は日々の経験によって、バランスを体得していくのでしょう。

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写真4番目は拡大です。拡大しても、特にわかることもないですね。
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[ 2015/07/05 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

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