花也の単衣~夏の刺繍の名古屋帯「投取横波京変繍」の細部

三千百三十回目は、花也の単衣~夏の刺繍の名古屋帯「投取横波京変繍」の細部の拡大です。

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いちばん上の写真は、お太鼓の近接です。花織と絽織のような生地の紋織部分と、刺繍部分が並ぶように撮ってみました。刺繍には独立した作品としての刺繍と、「あしらい」という友禅を補助する刺繍がありますが、この刺繍は、織物を擬態し地紋と見違えるような刺繍です。

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写真2番目は刺繍部分の拡大です。織物というのはどんなものでも経糸と緯糸から成っています。一方、刺繍というのは自由なものです。しかしこの刺繍は縦方向と横方向の糸が交わるように見える繍い方をしていて、織物を模しています。その目的は、生地の紋織と見間違えさせるという、だまし絵効果で遊ぼうという意図だけです。

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写真3番目は刺繍部分の拡大です。これも経緯の糸が交わった織物に見えるというだまし絵効果を狙ったものです。

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写真4番目は刺繍部分の拡大です。これも経緯の糸が交わった織物に見えますが、見る人に「あれ?」と思わせるためだけにやっていると思うとおかしいですね。

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写真5番目は生地の絽織部分の拡大です。ここは本当の織物です。

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写真6番目は生地の花織部分の拡大です。ここも本当の織物です。外部から他の糸を差し入れるのではなく、地の変化により紋織を形成しているので、色は地色と同じ単色です。

だから、刺繍部分と見分けがつくのですが、もし、読谷花織のように、外部から色糸を差し入れる浮織だったらどうでしょうか。浮織の隣に浮織そっくりの刺繍があったら、本当に区別がつかず、すごい騙し絵ですが、作品の意義というのが混乱してしまいます。ではそもそも、織物と刺繍の違いは何? と言われれば、織りの途中で糸の交差を変化させ模様を作るのが織物、織が完成した後で、糸を差し入れて模様を作るのが刺繍です。でもそれじゃあ時間の差しかないの? これは、なかなか考えさせてくれる作品なのです。
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[ 2015/07/01 ] 繍箔 | TB(0) | CM(0)

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