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千切屋治兵衛の絽塩瀬の名古屋帯

第二千五百七回の作品として、千切屋治兵衛の絽塩瀬の名古屋帯を紹介します。

先日から紹介しているのと同じ藤岡さんの作品です。以前の細い糸目による繊細な作風とは反対の、遠目で美しく見える単純な構図を持った作風です。

藤岡さんにはこのような作風もあって、単体で絵画として見るだけであれば、当然、繊細な作風の方が鑑賞のし甲斐がありますが、帯として着物と合わせた場合にはどうか、また、着装した状態で、パーティー会場やホテルのロビーで、離れたところから見た場合はどうか、次回以降は帯としての機能も考慮して紹介したいと思います。

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いちばん上の写真はお太鼓です

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写真2番目は腹文です

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写真3番目はお太鼓の近接です

タイトルは「波」ですが、ほとんど抽象画のようです。グラフィックデザインと言って良いかもしれませんね。しかし、波とされる曲線のラインに、古典模様の「青海波」や「波頭」が見えるような気がします。モダンなグラフィックデザインに見えて、微妙なラインで「和様」や「伝統」を感じさせるという趣旨の作品です。

波をあらわす太い曲線は、両側に糸目があり内部がベージュで彩色されているのですが、写真で見ると、取り方の輪郭は糸目が見えるのですが、波の両側の糸目は目立ちません。波の両側に波の色とは違う白い輪郭線が見えたら、すっきりしませんね。

どうして見えないかとよく観察してみると、まず波の両側の糸目は糊糸目のため、色が乳白色でベージュの彩色に対して色差が少なく目立たないのです。その一方、取り方の輪郭は乳白色糸目の上から銀彩されており、光ってよく目立ちます。人の目は、銀彩の目立つ線に引き寄せられてしまうので、乳白色の波の両側の線がよけい目立たないというわけです。

美術史では、輪郭線の有無は、そのために論争しなくてはならないほど大きな問題ですが、手描き友禅では、糸目糊置きという技法から白い輪郭線が宿命のように付属します。凡庸な作家であれば、当たり前のようにそれを受け入れるわけですが、それ以上の作家であれば、糸目をコントロールして輪郭線の有る作品も無い作品も創ります。

呉服屋さんが顧客に商品説明をするときは、「糸目があるのが手描き友禅の証拠」などというレベルの低い内容になってしまいますが、友禅の作家は、求める作風に応じて技法も変えていきます。
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[ 2013/10/14 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

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