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千切屋治兵衛の訪問着「酒器」の続き(制作は倉部)

三千百十五回目は、千切屋治兵衛の訪問着「酒器」の続きです。制作したのは倉部さんです。

今日は後姿を紹介します。前姿の模様と後姿の模様の関係も見どころの1つです。たいていは後姿の模様は前姿のダイジェスト版に過ぎないことが多いですし、草花模様のばあいは、前も後もつながっているのが普通ですが、たまにそうでない作品に出会えます。一見違っているように見えながら、意味的なつながりがあったりすると良いですね。

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いちばん上の写真は、後姿の全体です。

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写真2番目は近接です。後姿のテーマは両口銚子でした。

銚子はもともとは、酒宴に用いる長い柄のついた器を指しました。大勢で酒盛りをする時は両口で、左右の口から盃に注ぎます。 ときどき骨董のオークションで見るので、コレクションしている人もいるのでしょうね。素材は根来と鍍金とがあり、鍍金のものは、この作品のように模様が彫られています。文化財として有名なものは神社に伝世しているようです。

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写真3番目はもっと近接です。鍍金両口銚子の模様は楓の唐草模様です。桔梗かとも思いましたが、花芯ではなく葉脈があるので楓だろうと思います。

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写真4番目は、刺繍の立体感を際立たせるため、斜めから撮ってみました。柄の部分の金糸の駒繍の立体感がわかっていただけるとありがたいです。

ここで改めて、いちばん上の写真と見比べてみると、銚子本体の茶色がすごく強く、それがアイキャッチポイントになっています。この部分が、前姿にない魅力です(反対に言えば、前姿には刺繍の技はありますが、アイキャッチポイントが不足していますね)。しかし、この茶色の強さの秘密は、純粋な友禅ではなく顔料が混ぜてあるのかもしれませんね。

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写真5番目は、刺繍部分を分かりやすくするため裏側から撮ってみました。銚子の内側は細い金糸の斜線で表現してありますが、裏側は激しくて、鑑賞者にはうれしいところですね。

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写真6番目は植物文の近接です。倉部さんの金描きは上手いですが、金描きというのは、友禅の糊のように洗い落とせないですから、一発勝負なので尊敬してしまいます。さらっと描いているようでも、絵として様になるというのは大変なことですし、同じ画題なら、昨日比較した大羊居の友禅と同じぐらいの価値があるんじゃないかと思っています。
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[ 2015/06/16 ] 繍箔 | TB(0) | CM(0)

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