千切屋治兵衛の付下げ「小付けリング」の帯合わせ

三千百七回目は、千切屋治兵衛の付下げ「小付けリング」の帯合わせです。

昨日は、縞や格子の帯を合わせ絵画性を封印しましたが、今日は普通に模様のある袋帯を合わせてみます。今回の着物は、金糸のみですから色彩に乏しく、リングは斬新とはいえ、散らばるのみですから物語的な展開はないわけですが、それに具象的な模様のある帯を合わせることで、色彩や絵画性を加えることになります。

IMG_49251.jpg
いちばん上の写真は、紋屋井関の「御寮織」シリーズの袋帯の1本を合わせてみました。正倉院御物の「銀平脱の合子」をテーマにしたものです。「銀平脱」とは技法の名前ですが、職人の人権を無視したような古代にしか作られていない面倒な技法です。用途は、聖武天皇が碁をするときの碁石入れで、象さんチームと鸚哥さんチームがあります。

和装のコーディネートに象と鸚哥を持ってくれば、絵画性・物語性共に満載ですが、その代わり色は金のみにして色彩は遠慮しています。一方で好き放題にしたら、もう一方では抑えるというようにするのが、全体のコーディネートを保つコツですね。

IMG_49201.jpg
写真2番目は、紫絋の袋帯「正倉院臈纈文」を合わせてみました。タイトルは「臈纈文」ですが、実際の意匠は、刺繍や挟纈など正倉院にある染織品から自由に取材しています。具象的な鳥の文様もあり、抽象的な文様に花を加えたようなものもあり、バランスの良い意匠だと思います。色も金地がベースながら紫などが加わって、多彩とも金彩ともわからない、結果として使いやすいと思います。

IMG_49291.jpg
写真3番目は、池口平八の袋帯「琵琶湖」を合わせてみました。琵琶湖の湖面を織で表現したものですが、離れて見ると印象派の技法で湖面を描いたように見えます。印象派が油彩でしたことを西陣の織の技法でしたのではないでしょうか。

この倉部さんの小付けの着物を年輩者の着物と考えて、そのばあいにどういう帯を締めるかと考えて合わせてみました。こんなコーディネートなら、お金持ちで上品なおばあさんに見えるんじゃないでしょうか。

IMG_49351.jpg
写真4番目は、織悦の袋帯「栗枝繍文」を合わせてみました。この帯の意匠を理解する鍵は、「繍」にありますね。元絵は刺繍作品だという意味です。元絵が織物作品であればもっと規則性のある意匠になりますが、元絵が刺繍でそれを織物で表現しているため、意匠が織物らしくないのです。刺繍は織機のようなシステムを使わず、指だけでするわけですから意匠も自由で規則性が無いのです。

抑制された着物の意匠に対し、伸び伸びした大きな栗の意匠ではバランスが悪いとも思うので、色は調和を考えて金地です。模様で好き勝手をしたら色彩は妥協しないといけませんね。
スポンサーサイト
[ 2015/06/08 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://shirokiyagofukuten.blog.fc2.com/tb.php/672-bb8e0fbd