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野口の加工着尺の帯合わせ

第三千六十二回は野口の加工着尺の帯合わせです。

今日は龍村の名古屋帯を合わせてみます。この着尺の優れているところは、格子の色が交わって重なった部分の色が濁っていないところです。もうそれだけが存在意義と言っていいと思います。そして見事に成功しているのですが、染物にとって難しいこのミッションも、じつは織物では簡単にできてしまうんですね。だからこの着物の最大のライバルは織物の着尺だと思います。

織物では、経緯の糸の色を変えて格子を織る場合、交わる部分はその中間の色になります。経糸が赤で緯糸が青なら交わる部分は紫です。しかし、赤と青は交っているだけで混じっていません。両者はじつは並んでいるだけで、人間の目が勝手に混ぜてみているのです。染のばあい、色を混ぜると双方の濃さがプラスされて明度が下がって暗くなりますが、織のばあいは、両者の明度はその平均になるのです。

そのことに気付いて最初に実践したのは、画家の世界ではスーラですからけっこう遅いですね。織物の世界では自明のことだったでしょうし、古代のモザイク作家も知っていたでしょうね。


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いちばん上の写真は、「花韻」を合わせてみました。今日の帯合わせのテーマは、着尺の色の美しさを阻害しないということで、色の美しい帯を合わせてみました。花といえば、普通は「色」か「香り」ですが、この作品では花の「音」をテーマにしています。花の周りの弧は音の波動でしょうか。作者のイマジネーションに敬意。

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写真2番目は、「芦映」を合わせてみました。水に映る芦で波に揺らいでいます。波の光を反射する部分が金、その間の暗い部分が紫だと思いますが、この歌があるために、芦の節かと思ってしまいます。
「難波潟 短き蘆のふしの間も 逢はでこのよを過ぐしてよとや」

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写真3番目は、「ほかけ」を合わせてみました。朱系の色を使っていないので年輩対応ですが、派手でなくても綺麗な色を集めています。

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写真4番目は、「花宝」を合わせてみました。上の「ほかけ」もこの作品も、模様が整列しているパターンなので、格子模様に対してよく馴染んで見えますね。
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[ 2015/04/24 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

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