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千切屋治兵衛(倉部さん)の訪問着の帯合わせ

第二千九百五十三回目は、千切屋治兵衛(倉部さん)の訪問着の帯合わせです。

帯合わせについて考えるときは、まず着物の性格や特徴から考えます。

色は金糸のみの単彩主義ですから、帯合わせについては、足りない色を補うために多色のものを選ぶという選択と、帯も着物に合わせて単彩にするという選択とがあります。

模様は幾何学模様ですから、帯は具象画的なものにして絵画性を補うという選択と、帯も着物に合わせて抽象的なものにするという選択があります。

雰囲気は非常に洗練された都会的な着物という感じですが、素朴さが足りないから野暮な帯を合わせるという選択はあるでしょうか。しかし野暮と素朴は同じではなく、むしろ反対ですね。縄文や弥生の土器は素朴な環境でつくらても野暮ではないですものね。野暮というのは駄作の別の呼び方に過ぎないのでしょうか。

ということは、洗練された着物には洗練された帯を合わせるという選択しかないということですね。洗練すぎないように野暮な帯を合わせるというのは、選択ではなく選択の失敗ということになりますね。

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いちばん上の写真は、紋屋井関の「御寮織」シリーズの袋帯を合わせてみました。限定的に使われた青を除いてすべて金の濃淡ですから、単彩主義の色数を増やさない帯合わせです。意匠のテーマは、正倉院御物の「銀平脱の合子」で象と鸚哥ですから、古典模様の写しとはいえかなり具象画的です。

帯と着物の関係は、色については単彩で色数を増やさないが、模様については帯で絵画性を補うという帯合わせですね。

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写真2番目は、龍村の袋帯「海音光映錦」を合わせてみました。基本は金地でモチーフは(友禅であれば背景に使われる程度の)波のみですから、色数も増やしていませんし、模様も「絵画性を補う」までは行かないと思います。しかしながら、帯に存在感がありすぎて、むしろ上の例の方が静謐に見えてきますね。

結局、着物と帯の関係は、色が多色か単彩か、模様が絵画的か幾何学模様的か、というようなパターンだけで論じられるものではなく、それぞれの作品の存在感にも左右されるということですね。

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写真3番目は、しょうざんの徳田義三ブランドの袋帯を合わせてみました。模様も地色も金色の、単彩の極みのような作品ですが、名物裂の角倉金襴に取材して、かわいいうさぎを大きく表現するとことで強い存在感を持つ帯です。

名物裂をそのまま写しただけでありながら、うさぎの存在感の大きさから、色は単彩で模様は絵画性プラスの例ですね。

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写真4番目は、梅垣の袋帯「蒔絵花鳥文」を合わせてみました。金の地色に対し地色に調和した色の模様を付けたもの、単彩とも言えるし、多彩とも言える感じですね。模様については、絵画的とも言えるし類型的ともいえる模様です。存在感については、もちろんありますが、龍村の「海音光映錦」のように、人の感受性を揺さぶるようなことはないですね。人に例えると、子供時代は優等生、成人してからは人格者、と言われるような帯合わせです。
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[ 2015/01/04 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

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