千切屋治兵衛の訪問着(中井淳夫)の続き

第二千九百二十四回目は、千切屋治兵衛の訪問着(中井淳夫)の続きです。今日は袖の模様と参考図版です。

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いちばん上の写真から4番目までは、袖の写真を撮ってみました。模様の量にはかなりメリハリがあります。私はむしろ、伸び伸びしているという点において、模様の少ない場面に魅力を感じます。

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全身が遠山と霞で深山幽谷の風情で、さらにそれが取り方となって、それぞれの取り方には琳派の草花文が収められているという、この作品の意匠の源泉を求めてみました。とりあえずシリーズとも思われる中井の訪問着があります。

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写真5番目は、全体が取り方になって中井の訪問着です。過去に紹介したことがありますが、一の橋の企画によってつくられた作品です。今回の作品は、取り方が山と霞という意味を持って行って、全体が深山幽谷ともいうべき雄大な景色になっていますが、この作品は取り方は意味のない直線模様で、全体は幾何学的な分割になっています。

それぞれの取り方の内部は、今回の作品は一種類ずつの琳派の草花であるのに対し、こちらは、「楓と流水で竜田川」のような琳派模様の慣用的な組み合わせがそのまま納められています。全体が幾何学的で意味が無いものは、中のモチーフに意味があり、全体が深山幽谷という意味があるものは、中のモチーフに意味が無いのです。中井さんの作品というのは、あらゆるものに摂理のようなものが貫いているのです。

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写真6番目は城間栄喜の紅型の着尺です。古紅型にある意匠で、鎌倉芳太郎も同じようなものをつくっていますね。山が重なっていく意匠がよく似ています。中井作品において霞の役割をしているのは、こちらでは波です。すなわち、この作品では重なるのは山ではなく、島なのです。

昔の沖縄人の芸術的才能に感服せざるを得ない、雄大にしておおらかなイリュージョンですね。中井さんは気に入ったデザインを見ると、新聞でも何でも切り抜いてスクラップしていたということなので、この作品も当然知っていたでしょう。
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[ 2014/12/05 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

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