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一の橋(倉部さん)の付下げの帯合わせです

第二千九百二回は、一の橋(倉部さん)の付下げの帯合わせです。

正倉院をテーマにした着物ですから、とりあえず同じく正倉院をテーマにした帯を合わせてみたいと思います。色や質感よりも模様の意味を優先して帯合わせができるのは、この着物が色も単色、余白も多い、それでいてフォーマルの存在感を持っているという、元々帯合わせが楽な着物だからです。

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いちばん上の写真は、坂下織物(すでに廃業)の「御門綴」のシリーズの1本で、複数の正倉院模様を巧みにコラージュしたものです。よくある正倉院柄だなあ、となんとなく見てしまいますが、「なんとなく」見られるということは違和感が少ないということですから、とても上手にコラージュしているということになります。本当は螺鈿とかろうけつとか、素材も技法も違うものが混ぜてある、フランケンシュタイン博士がつくった化け物のような模様なのです。

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写真2番目は、織悦の袋帯を合わせてみました。正倉院に伝わる唐花文様の裂の多くは、主文と副文の2種類の模様が並んでいるという様式になっています。

唐花文をテーマに帯をデザインするときは、普通は主文を中心に意匠化するものですが、なんとこの帯では副文が中心に大胆に近接していて、主文は途中が切れた状態でしか見られません。大きな模様がドーンとくるすっきりした印象ですが、とても思い切った意匠なんですね。

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写真3番目は、紋屋井関の「御寮織」のシリーズの1本で、銀平脱の合子をテーマにしています。銀平脱というのは古代特有の不合理なまでに面倒な技法を言います。用途は聖武天皇が使った碁石入れ(碁盤もあってそれは象嵌の傑作)で、インコチームと象チームがあります。

この帯は、インコチームと象チームの碁石入れを交互に並べた意匠です。金糸が主体の単彩主義の作品ですから、倉部さんの着物のに合わせた時に、全体の色数を増やさない帯あわせができます。

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写真4番目は、大西勇の袋帯を合わせてみました。上と同じく銀平脱の合子をテーマにしています。こちらもインコチームと象チームの碁石入れを交互に並べた意匠ですが、象をお太鼓に出すとインコは見えません。

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写真5番目は、大西勇の袋帯を合わせてみました。正倉院にある臘纈(ろうけち)屏風をテーマにしています。臘纈とは現代のロウケツ染ですが、染織史のいちばん始めに必ず登場する天平の三纈(さんけち)の一つです。古代の蝋は蜜蝋ですが、聖武天皇はビールを飲んだり蜂蜜を食べたりしたので、材料の蜜蝋が輸入されていました。その後は輸入がとだえたため日本では定着せず、ロウケツ染として復活するのは大正時代になってからです。

元の屏風は、木と象の模様で、この帯でもそうなっていますが、お太鼓には象しか出ませんね。精緻な西陣の織物でありながらも、素朴な古代の臘纈の雰囲気を出すように演出しています。
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[ 2014/11/13 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

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