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千切屋治兵衛(中井敦夫)の訪問着

第二千四百八十二回目の作品として、千切屋治兵衛の訪問着を紹介します。

制作したのは中井敦夫さんです。亡くなって数年たって、まだ売れずに千治に残っている中井さんですから、相当個性のあるものだろうと想像できますが、想像以上です。

タイトルは「紅葉」と平凡ですが、何をテーマにしたのかわかりません。人物が半透明で表現されていますし、烏帽子を被りながら落ち葉を掃いていますから、子や孫が墓参りをしないので、先祖がしかたなく出てきて墓の掃除をしているようにも見えます。

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いちばん上の写真は全体です

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写真2番目は前姿です

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写真3番目は人物の近接です

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写真4番目は人物の足元、紅葉の近接です。

私には霊現象に見えますが、それは、人物が烏帽子を被っているので、古い時代の人物に見えること、白い着物を着ていること、半透明であること、顔がないこと、からでしょう。

しかしながら、それだけではないと思います。中井さんの卓越した表現力が、この作品では「秋の風情」に向けられていて、その結果、秋の寂しさが身にしみる作品になっています。そして身にしみすぎて、普通の人物が霊が見えてしまうほど寂しくなってしまったのです。写真4番目は、風に吹かれる紅葉が描かれていますが、私はこんなにも秋の寂しさを美しく描いた例を知りません。

装いは華やかであるべきと思う方は、「寂しい」着物なんて着たくないでしょうね。しかしながら、昔の日本人は「秋は寂しい」というとき、その「寂しさ」を価値あるものとして味わってきたのだと思います。

さて、この作品のテーマは何なのでしょう。本人が亡くなっているので、わからなくなってしまいました。ヒントはタイトルだけですが、「紅葉」の一言ではなんともなりません。京友禅では、源氏物語に由来する作品が多いので、これもそうかと思いました。紅葉といえば第七帖「紅葉賀」を連想しますが、落ち葉を掃く場面はありませんよね。
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[ 2013/09/18 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

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