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大羊居の桐文様の比較

第二千八百十九回目は大羊居の桐文様の比較です。

今回の付下げ「吉祥花」に描かれた模様は、まさに桐だけですが、桐は大羊居ではもっともよく登場するモチーフです。他の作品ではどのように扱われているでしょうか。大作の訪問着で比較してみます。

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いちばん上の写真は、訪問着「」の全体です。桐というのは10mぐらいになる大きな木です。箪笥が作れる木ですものね。桐といえば着物好きな人は自然の樹木よりも家紋としての桐紋を思い起こすでしょう。大羊居の桐文様もほぼ桐紋のような形をしていますが、この訪問着では、文様ではなく生きている1本の木として描かれています。

添え物としては、根本辺りに笹が描かれているだけですので、様式としては意匠的ながら自然の木をテーマにした写生的な姿勢の作品といえます。肝心の桐文を見ると、葉はほぼ自然な緑系、陰影も描かれ、陽光の反射も金彩で表現しています。

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写真2番目は部分です。

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写真3番目は、訪問着「桐と誰が袖文」の全体です。桐文と誰が袖文を合わせて意匠です。ここでは桐は植物というより吉祥文様ですね。登場するモチーフは桐と誰が袖の2つだけのように見えますが、誰が袖内部には、桜、竜田川、若松、七宝など友禅にありがちなモチーフが描かれ、実際にはフォーマル衣装らしい装飾的な画面になっています。

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写真4番目は部分です。桐の葉を見ますと、自然な植物の色に拘泥せず、緑、青、黄色という装飾的なものになっています。さらに上の訪問着の桐の葉の葉脈と比較してみると、上の作品は写生的な配列で描かれているのに、こちらは左右対称にお行儀良く並んでいます。こんなところにも、写生と装飾を描き分ける小技が使われているんですね。こういう小技の積み重ねが、写生調か装飾かという全体のイメージにつながっていくのだと思います。

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写真5番目は、昨日紹介した付下げ「吉祥花」の近接です。

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写真6番目も同じく近接です。ここで桐の葉を比較してみると、写生でも友禅らしい装飾でもなく、現代美術の抽象絵画の色彩分割みたいなことになっています。こうして見ると、またか、という感じの大羊居の桐文様は、決して使い回しではないんですね。上記2つの大作の訪問着に比べると、付下げは模様の展開に乏しく、ただ桐文を並べただけのダイジェスト版といわれても仕方がないですが、それだからこそ個性を持たせるべく仕掛けをしているんですね。やっぱり大羊居の下絵師はレベル高いです。
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[ 2014/08/23 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

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