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千切屋治兵衛の名古屋帯の帯合わせ

第二千四百七十七回目の作品は千切屋治兵衛の名古屋帯の帯合わせです。

先日来の藤岡さんの名古屋帯の帯合わせの続編です。蝶の有る無し、どちらが良いか、もう今回で結論にします。試してみる前にまず、結果の予想ですが、この帯はもともとすっきりした帯ですが、

さて今回、素材に使ったのは野口の着尺です。前回までの紬に対し、今回は染の着物で試そうと思い、派手な大きな花柄から粋な縞まで揃っている野口の着尺をえらびました。

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いちばん上の写真は、野口の着尺のうち、若向けの大きな花柄です。着物も帯も春らしい明るい色であり、さらに着物の花に対し、帯の蝶という意味的なつながりも作れる教科書的な組み合わせになりました。

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写真2番目は、野口の着尺のうち、吹き寄せを選んでみました。地色は茶系の色で派手ではありませんが、花や葉が綺麗な色で彩色され、野口らしい華やかさやかわいらしさがあります。年齢幅はかなり広いのではないでしょうか。

しかしながら、吹き寄せは晩秋のモチーフでしょうか。松葉が風の通り道の形に流れていく意匠は、木枯らしの季節に実際に見るものです。しかし花は秋の菊だけでなく、春の梅も桜も含まれていますから、すでに季節に関係のない普遍的な模様にすぎないのかもしれません。

そういうことは、蝶の帯を合わせる時は気になってしまいますね。他人の着姿は雰囲気が合っていれば良いと思えますが、自分のこととなると細部が気になってしまう、それが普通の人の感情だと思います。

蝶がマイナスに働いてしまう例ですが、葉陰だけではつまらないと感じるときは、作り手としてはどんな作り方をすればよいか。私なら、葉陰の中にウサギの耳を混ぜます。よく見ると2本だけ変な形の葉がある、という仕掛けですね。

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写真3番目は、ごちゃごちゃ柄の更紗を合わせてみました。このような着物には、すっきりした縞などが良いのですが、この着物は縞更紗であり、すっきりした縞さえ柄が重なってしまうという難物です。まさにこの帯はこの着物のためにあるような気さえします。

さて、葉陰」だけの図案であれば、気になってくるのは輪郭線の存在です。手描き友禅のばあいは、技法上の特性からどうしても模様の回りに白い輪郭線が出てしまいます。低いレベルでは、ホンモノの手描き友禅の証拠と歓迎することもありますが、もっと高いレベルでは、元絵とした日本画にない白い輪郭線があることで、本絵の雰囲気を損なってしまうという感じ方もあります。

近代以降、輪郭線を残さない技法として無線友禅や堰出し友禅が生まれました。作者は、自分が目指したい作風に合わせて、技法を選択できるようになりました。この作品のばあい、堰出しにすれば画面はすっきりした2色の面の色分けになるでしょう。

私は、この作品は同系色の濃淡の美しさが見せ場なので、邪魔な白い線で隔てない方がよい気がしますが、まあ個人の感じ方で正解はありませんね。

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写真4番目は、すっきりした着物とすっきりした帯の組み合わせを考えました。ごちゃごちゃをすっきりで緩和する、という発想ではなく、すっきりの極大化を目指したもので、粋、都会的、森田空美的、というようなものですね。

こうしてみると、「すっきり同士」というのは誰でも出来て、失敗の少ない着こなしと言えます。しかし、「逆もまた真」であるなら、「ごちゃごちゃ同士」もまた可能なはず。これはむずかしいです。それで成功した人がいれば、その人は森田空美より難しい課題に挑戦したのであり、より才能があることになるはずです。誰かいかがですか。
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[ 2013/09/13 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

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