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千切屋治兵衛の塩瀬の名古屋帯

第二千四百七十四回目の作品として、千切屋治兵衛の塩瀬の名古屋帯を紹介します。

実際に制作したのは藤岡さんです。最近ブログを読み始めた方や、ホームページ本体を見ていない方のために、久しぶりに解説しますが、京友禅のメーカーというのは、自前の工場を持っているということはほとんどなく、ほとんど下請けにつくらせています。

その下請けとは、悉皆屋という存在です。消費地における悉皆屋はしみ抜きや仕立てを請け負う業者ですが、産地における悉皆屋は制作者を意味します。悉皆屋は自分で筆を持つわけではなく、各分野の職人をアレンジして制作します。

千切屋治兵衛は、かつては自社工房を持っていましたが、バブル後の不況のさなかにリストラし、その後はすべて悉皆屋を利用するようになりました。しかしながら、もともと自社工房では、糸目型とゴム糸目がメインで、それほど良いものは作っていませんでした。

ようするに、悉皆屋という制度は、経済史的には問屋制手工業に似た古い形態ですが、標準品を効率良く作る近代の工場に対し、芸術要素の強い製品を製造するのに向いた制度なのだと思います。

似たものに「作家」がありますが、1人で友禅も刺繍も箔もできるわけではないのですから、結局は外注を使っているので、悉皆屋の社長と変わりません。作家と悉皆屋のちがいは、下請けに甘んじてメーカーに販売を任せるか、自分をブランド化するかというマーケティングの違いだけですね。

最近は「染匠」という言葉も使われます。メーカーや問屋があまりにもふがいないので、悉皆屋の社長が主導権を握って創作しようという覚悟から生まれた言葉のように思えます。もっとも早い時期に「染匠」を名乗った1人は市川和幸さんの「染匠いちかわ」ですが、実際にブログで情報発信していますものね。

さて、やっと本題ですが、爽やかなペパーミントグリーンの地色に、葉陰と蝶が描かれています。このような図案であれば、葉陰は堰出しの方がすっきりしてよいように思いますが、今回は糸目です。堰出しか糸目かというのは、白い輪郭線があるかないかの問題で、一般には些細な問題ですが、日本の美術史ではかつて大きく論争された問題です。

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いちばん上の写真はお太鼓です

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写真2番目は腹文です

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写真3番目と写真4番目はそれぞれお太鼓の別の部分の近接です。

今日、余計なおしゃべりをしたのは、このような帯は帯合わせをしてから論じるべきだと思うから。その時合わせて輪郭線の問題も。明日は帯合わせです。
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[ 2013/09/10 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

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