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大羊居の訪問着

第二千四百六十九回目の作品として、大羊居の訪問着を紹介します。

タイトルは「春秋華映」です。「春秋」は、牡丹と菊が描いてあって春も秋も着られるよ、いうことでしょう。大羊居のような着物は、一生に1枚買えればかなり幸運な人生です。季節によって買い替えることができるとも思えないので、「春秋」は大事なポイントですね。

「華映」も、この作品の雰囲気を見るとおりで、かなり華やかですから年齢について注意が必要でしょう。ただ、実際に着る場は大勢のパーティーでしょうから、地味派手の基準も変わってきます。小さな呉服店の店内で派手と思えた着物も、華やかな会場では普通になってしまうことがあります。

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いちばん上の写真は全体です

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写真2番目は前姿です

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写真3番目は後姿です

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写真4番目は下前を含む後姿です。

ただ華やかな植物を総出演させただけの着物に見えますが、全体の意匠を眺めれば、かなり工夫していることに気が付きます。まず、主役に見える牡丹は、大きいながら意外に数は少なく、蕾を含めて6個です。

大きさでは譲るものの、数と面積で主役なのは菊です。菊と牡丹ははっきり棲み分けされていて、両者が混ざっている場所はありません。図案を整理するということで、意匠上のテクニックですね。ごちゃごちゃした印象になるのを避けることで、「豪華」と「すっきり」という相反する美の要素を両立させているのです。

「豪華」なのに「すっきり」というのは、大羊居の意匠の基本です。「江戸の粋」というと紺やグレーや焦げ茶の地味な縞を連想しますが、「豪華」なのに「すっきり」だからこそ、大羊居は、多色なのに江戸の文化の一部なのだと思います。

下前の、着た時に見えるか見えないかの境あたりに、楓の太い幹がいきなり現れます。絵画でも音楽でも論文でも、テーマを絞ったのが良い作品だと思っている方には、意外ではないでしょうか。

まあこんなものかと思ったとたんの再スタートです。ドラマなら、もうこれで大団円と思ったところで、主人公の意外な過去が発覚したというところ。
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[ 2013/09/05 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

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