花也の名古屋帯

第二千七百十六回目は花也の名古屋帯を紹介します。

タイトルは「アールヌーヴォー亀甲抜取間道」です。このタイトルについては少し説明する必要がありますね。「アールヌーヴォー亀甲」というのは、私も聞いたことが無いのですが、京都の図案家が出版した下絵集あるいは図案集にこのようなものが載っているのだと思います。「西洋ではアールヌーヴォーというのが流行っている」と知った昔の図案家が、亀甲と合わせてみてハイカラな図案として創ってみたのではないでしょうか。京都の友禅制作者、主に悉皆屋といわれる人たちはそういう資料を集積しているんでしょう。

当社は、明治40年刊行の紋帳を代々使っているのですが、この紋帳には通常の家紋のほかにアールヌーヴォー家紋というのが載っています。そんなものは美術史に残ることもなくすっかり忘れ去られているのですが、どの時代にも好奇心の強い人はいて、限られた情報の中で一生懸命考えているんですね。

「抜取」というのは、彩色しない白揚げの友禅だということでしょう。刺繍で表現されたよろけた間道の背景として挿入されたものですから、白揚げでなければセンスが悪いということになりますね。帯の意匠としては、よろけ間道だけで完成しているように見えるので、有っても無くても良いと思うのですが、これがあるために作品に奥行きが生じて立体的に見える効果があるのでしょうか。

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いちばん上の写真はお太鼓です。いつもの花也とは全く違う配色で、それがこの作品の中心テーマのように思います。黄緑と紫を同時に使う配色は、私の世代は暴走族の車の色を連想してしまいます。私の知り合いはこういう色のハコスカとかケンメリとかに憧れていました。でも不思議とここでは下品ではありませんね、それどころか初夏の爽やかな風さえ感じてしまいます。

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写真2番目は腹文です。

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写真3番目は近接です。白揚げの一部は銀糸で刺繍が刺繍がしてあって、キラッと光るようになっています。刺繍には立体感があるので、これも奥行き表現の助けになっていますね。

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写真4番目は花の拡大です。普段の京繍では見ない技法ですね。
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[ 2014/05/12 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

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