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大羊居の訪問着のつづき

第二千四百六十三回目の作品は大羊居の訪問着のつづきです。

昨日はうさぎネタになってしまったので、今日は本来お伝えしなければならない作品の細部を紹介します。

いちばん上の写真は前姿の牡丹と扇面の近接、写真2番目は袖の牡丹の近接、写真3番目は後姿の帯の上あたりの牡丹の近接、写真4番目は前姿の急流の近接です。

このブログを読んでいらっしゃる方は、能でも歌舞伎でも詳しい方が多いので、こちらが教えられることが多いのですが、能の演目である「石橋」のストーリーを正確に知りたいという方は、ウィキペディアで探してみてください。「能 石橋」で検索してみるとすぐ見つかります。

中国には仏教の四大霊山というのがあって、それぞれの山が普賢、地蔵、観音などの菩薩の聖地になっているのですが、その1つが山西省にある五台山(清涼山)で、ここは文殊菩薩の担当になっています。

仏具として見ると、普賢菩薩と文殊菩薩はセットで売っていることが多く、それぞれ象と獅子に乗っています。石橋は文殊菩薩の聖地である清涼山の物語なので文殊菩薩の象徴として獅子が出るのです。

大羊居の創始者は野口功造ですが、やはり石橋がテーマだったのでしょう、堂々と獅子と牡丹を描いた作品があります。それを思えば、今回、石橋をテーマにしながら肝心の獅子を省略しているというのは、けっこう思い切った意匠なのだと思います。

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前姿の牡丹と扇面の近接

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袖の牡丹の近接

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袖の牡丹の近接

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帯の上あたりの牡丹の近接

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前姿の牡丹の近接

それぞれのモチーフを個別に近接で見ると、扇面内部は、七宝繋ぎ、青海波、菊、蘭、そして近接には撮っていないですが後姿の扇面には竹もあります。つまり、牡丹と合わせて四君子でつながりますね。

扇面内部は、四君子・七宝繋ぎ・青海波と伝統的なモチーフでぎっしり埋められていますが、一方で主役の牡丹は琳派的な意外に洒脱な表現です。

牡丹を見ると、加工はいずれも箔や刺繍を思い切り施した重加工ですが、意匠自体は洒脱な琳派で、そのために意外と着られる着物になっていると思います。

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急流の近接を見ると、友禅染というのはまさに糊と水の芸術だとわかります。糊=防染、水=ぼかしですね。友禅染という芸術が、日本画に対してオリジナリティがあるとしたら、まさにこの部分です。私は、絵画とは別の芸術である染は、細密な友禅よりこのような表現に価値があるように思います。
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[ 2013/08/30 ] 友禅 | TB(0) | CM(2)

こんばんは。

この牡丹、花びらに勢いがありますね。大きな画像で拝見すると、迫力を感じます。まるでお獅子がたてがみを振り回すような……。

以前に歌舞伎座で、亡き中村勘三郎さん(十八代目)がまだお小さかった勘九郎さんと連獅子を舞われた舞台を観ました。豪快な「毛振り」の所作が思い出される、そんな牡丹花です。
[ 2013/08/31 20:44 ] [ 編集 ]

新たな見解をありがとうございます

おっしゃる通り、豪快な「毛振り」の所作を連想しますね。私もそうですが、たいていの人には能より歌舞伎の方が身近なので、作品を見て連獅子の方をイメージする人の方が多いと思います。それを狙ったとすれば、あえて獅子を描かなかった意味が、勢いのある牡丹が「毛振り」のかわり、という見方が成り立ちますね。新たな見解をありがとうございます。
[ 2013/09/04 20:19 ] [ 編集 ]

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