藤井絞の訪問着

第二千四百五十八回目の作品として、藤井絞の訪問着を紹介します。

6月28日(二千四百三回目)に紹介した更紗の訪問着の色違いです。以前紹介した着物は、注文により制作したもので、見る人を驚愕させるような真っ黄色でした。創った私がいちばん驚愕していて、思わず黄色い救急車の話を都市伝説として書いてしまいました。

後にブログを読んだ人から聞いたところ、黄色い救急車というのは都市伝説ではなく、松沢病院に実在したということです。松沢病院とは、衣笠貞之助の「狂った一頁」の舞台で、「伊豆の踊子」を書いて有名になった直後の川端康成が泊まり込んで脚本を書いたそうです。

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いちばん上の写真は前姿(マエミ+オクミ)、写真2番目は後姿、写真3番目は後姿~下前です。

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片袖です。反対側の袖にも同じような模様があります。

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近接です。

更紗の色は、紫~水色~ピンクという系統の色ですから、黄色い地色というのは、模様の色と補色関係になります。それに対し、今回の作品は地色がごく淡いピンクですから、模様の色とは同系色の関係になります。

他に模様の色と地色の関係としては、淡い色どうしにするか、濃い色と淡い色にするか、淡い色どうしにするか、という組み合わせがあります。今回は模様よりも地色が淡い色という関係ですね。

この作品は、模様を入れる画面の枠が絞りで表現されているとともに、更紗の花の回りも絞りで表現しているところに価値があります。絞りでなくただの暈しであれば、ずっと安くできますし、藤井絞に頼む必要もありません。

前回の黄色の地色の作品では、絞りであることが良く分かったのですが、今回は残念ながらよくわかりません。絞りというのは、色の境界が滲むのが特徴ですが、淡い色だとそれがわからないのです。絞りには淡い色は向かないのではないかと思います。今回の淡いピンクという地色は、絞りであるという価値を見せつけるよりも、全体の雰囲気を重視して選んだ色です。ファッションとはそういうもんですね。

地色と模様の色の関係は、何が正解なのか、顧客の好みはそれぞれですから正解というのはないのですが、何が売りやすいか、制作者は毎回悩んでいます。テーマが良くて、下絵が良くて、最後のこの選択で失敗して不良在庫になるということもありますから。
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[ 2013/08/25 ] 絞り | TB(0) | CM(0)

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