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野口の絽の着尺

第二千六百二十五回目の作品は、野口の絽の着尺を紹介します。

細い縞に飛び柄の雪輪という誰からも愛される着尺です。「愛される」というよりも「嫌われない」という方が正確かもしれませんね。飛び柄の雪輪というのは「よくある柄」にすぎませんから。しかし自分で絽の着尺を1反買うならこういうのが良いのではないでしょうか。

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いちばん上の写真は反物の幅を写真の幅として撮ったもの、

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写真2番目は近接、

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写真3番目はもっと近接、

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写真4番目は拡大です。

今回はまず4番目の写真で生地を見ます。3本絽ですね。絽の生地とは、緯糸に二本の経糸を交差させて織っていくものです。写真で見る通り、経糸を隣の糸と捩ることで緯糸の間に隙間をつくっていくんですね。その隙間は緯糸3本に1回、5本に1回、7本に1回とあり、それぞれ3本絽、5本絽、7本絽と言います。

当然3本に1回隙間がある生地がもっとも隙間率が高くなり、生地としては薄く軽く涼しげになります。夏物ですから涼しげなのは良いことですが、隙間が多いのですから生地の強度は下がりますし、下着が透ける程度が大きくなりますから長襦袢もちゃんとしないといけませんね。長所も短所もあるわけです。

もう1つ重要な短所があって、それは友禅の特長である色の深さや美しさが十分に表現できないということです。友禅というのは生地に染料が染み込んで発色するわけですが、3本絽は3回に1回は刷毛が空振りして染まっていないのです。完全に染めたつもりでも3/4しか染めていないんですね。そのため色の深さや美しさも3/4なのです。

ここまで読んで改めて写真を見ると、色に深みが無く物足りない気がしてきませんか。絽とはそのようなもので、それを防ぐためには隙間で減殺されることを計算して、あらかじめ鮮やかすぎる色で彩色しておくという場合もあります。

しかしながら、じつは絽には1つ重要な長所があるのです。それは裏からも光が透けるということです。科学的に言えば色は光から生まれ両者は切り離すことができないものです。絽は色の深みという美を失っていますが、代わりに光の効果という美を得ています。そう考えると光の効果を上手く生かせるような色に染めておくことが大事ですね。

ここで再び写真を見て欲しいのです。野口は、光を計算に入れた上で涼しげに見える色に染めているんですよね。
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