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花也の付下げ「白揚げ取り方四季花」

第四千百七回目は、花也の付下げ「白揚げ取り方四季花」を紹介します。

花の種類は、菊と橘で春と秋が揃い、背景は羊歯で冬にも枯れない植物ですから、夏以外の季節はいつでも着られるようになっています。着用の季節については、ユーザーの経済性を考えた、とても物分かりの良い作品ですが、では作品のテーマは何か、ということであれば、やはり糊糸目の技巧を披露する、ということに尽きると思います。

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いちばん上の写真は、前姿(マエミ+オクミ)です。乳白色の糊糸目が密集する画面です。本来であれば、視線が混乱して、何が何だかわからない、見ていて気持ちが悪い、ということになるのですが、この作品のばあいはそのようなことはないですね。

その秘密なんですけど、線があるべき場所にちゃんと整理されているということだと思います。モノがたくさんあっても、種類ごとに棚に収納されていれば散らかっていることにはなりませんよね。

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写真2番目は後姿です。糸目友禅のばあいは、筆でなく糊筒で描くわけですが、画家で筆を縦横に使い分ける人というのはいても、友禅作家で糊筒を縦横に使い分ける人といないと思うのです。上手いとされている作家の作品を見ても、輪郭線である糸目の線は1種類だと思います。

しかしこの作品では、菊、楓、橘、笹の枝や茎の線と、羊歯の葉の線は明らかに違います。どちらも同じ面にあるのですが、羊歯の細い線の方が後方にあるように見えるんですね。それが、線の置き場が違うということになって、線が正しい場所に整理収納されているということになるんだと思います。

しかしまだ不思議なことがあって、ようするに遠近法なんだけれども、美術史で習う遠近法(透視遠近法、空気遠近法)のどれでもないということです。羊歯の葉と茎が細いのは当たり前で、遠近ではないのですが、脳が勝手に遠近を感じ、線が整理されていると感じてしまうんですよね。

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写真3番目は袖です。具体的な技法ですが、細い糸目と太い糸目、どちらを先に置くんでしょうね。先に置いた糸目が完全に乾いてから、もう一方の糸目を置くんでしょうけど。職人にしてみれば、2枚分の仕事をさせられたと感じると思います。値段は2倍ではないのでご安心ください。

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写真4番目は、もう片方の袖です。

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写真5番目は胸です。
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[ 2018/05/15 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

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