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野口の付下げ(実際の制作は倉部さん)の細部

第四千九十回目は、倉部さんが制作した野口の付下げの細部です。

今日は、倉部さんの刺繍の技を近接で見てみます。刺繍というのは、手間がかかって本来高価なものですが、人件費の安い海外で制作することも行われてきました。最初は台湾と韓国、国交回復後は中国、今は中国の人件費が上がったのでベトナムが多いです。そのようなものは京繍に比べると1/10とか1/100の値段で販売されます。

そんな競争環境の中で京繍が生き残るのは、100倍払っても良いと思えるような圧倒的な技術と芸術性がなければなりません。それがどんなものか、今日は細部を見てみます。

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いちばん上の写真は、鳥のいる風景に出来るだけ近接してみました。鳥は全て金糸で刺繍されていますが、それでは輝くばかりで平面的になってしまいます。そうならないために刺繍の技法をいろいろ変えて、色は金で同じでも立体的に見えるようにしているわけです。

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写真2番目は、マエミの下の方の鳥のいる風景に出来るだけ近接してみました。鳥の頭と胴の部分は駒繍で、留め糸は朱色です。刺繍糸は金糸ですが、留め糸が暖色であるために、温かみのある金色になっています。

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写真3番目は、後姿の鳥のいる風景に出来るだけ近接してみました。羽根はまつい繍です。駒繍は留め糸で生地に押し付けるように繍うので平面的ですが、まつい繍は押し付けないので、金駒部分に比べてふわっとして、羽根らしく見えるわけです。

鳥の羽根の一部は、菅繍という一目置いて繍う技法になっています。これは後退して見える技法で、立体感を出すのに役立っています。

目の部分はマンガのように、目の中に光があります。これで表情が生まれました。

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写真4番目は、後姿の鳥を裏側から撮ってみました。これで技法がよくわかります。本金糸かポリエステルフィルムかの見分けは、糸の端を探して、芯糸の周りに巻き付けてある糸を少し解いてみるとわかります。裏が白ければ本金、裏も金ならばポリエステルです。

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写真5番目は、木の枝と花をできるだけ近接してみました。椿は照葉樹なので、陽光が当たると光ります。だから葉の何枚かは金糸だけで表現されています。その葉は陽光が当たっているわけですね。そうでない葉は葉脈が金糸で表現してあります。

木の枝は、まつい繍でふわっと刺繡されています。木の枝の丸みや触感の表現です。
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[ 2018/04/28 ] 繍箔 | TB(0) | CM(0)

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