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野口の夏の付下げ「芭蕉の葉に露」の問題点と作品の意義

第四千七十六回目は、野口の夏の付下げ「芭蕉の葉に露」の問題点と作品の意義です。

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いちばん上の写真はマエミです。反物の端まで模様が描いてありません。手描きの友禅にはそういうものもありますが、これはちょっと度が過ぎます。模様の幅は、前幅6寸5分、後幅8寸でちょうど合うようになっていて、それより幅が太い人は模様が途切れてしまいます。

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写真2番目は、生地を重ねたところです。生地を重ねたところです。変わり織の紗の生地で、かなり透け率が高いうえに、地色が白茶で淡く、模様が藍で濃いために、重ねた下の模様が見えてしまうのです。

仕立てたときに生地が重なる部分に模様が描いてあると、本来の模様に重なって隠れるべき模様が見えてしまうのです。古くなったブラウン管によくあったゴーストみたいですよね。それを防ぐために寸法ピッタリの部分までしか模様が描いてなかったのです。そのため着る人の体形を選ぶ着物になってしまいました。

それを防ぐためには、生地を厚くして涼しさを犠牲にするか、白茶と藍のコントラストをあきらめるかどちらか、どちらかしなければなりません。野口はどちらも諦めず、代わりに客を犠牲にしたというわけです。本当に犠牲になったのは、いろんな人に売らなければいけない販売業者ですけどね。

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写真3番目は、榀布の暖簾です。榀布、葛布など、産業的に栽培される繊維が現れる前の繊維を原始布といいますが、これは出羽の織座の山村精一さんの造語だそうです。原始人から連想したとのことでした。榀布というのはけっこう高価なもので、小さなバッグでも5万円ぐらいしますよね。

これは榀布の暖簾に筒描きで芭蕉を描いたもので、天然素材のナチュラル感や素朴な民芸感が満載です。今回の野口の付下げは素朴とは正反対の洗練された作品ですが、白茶と藍だけの限定された色彩や大きな芭蕉の葉は、民芸の雰囲気を継承したものなんですね。

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写真4番目は近接です。筒描きで糊を置いた部分は生成りの色です。

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写真5番目は拡大です。榀布の繊維です。
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[ 2018/04/14 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

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