井尾敏雄の帯留を帯に合わせてみる

第二千六百九回目の作品として、井尾敏雄の帯留を帯に合わせてみます。

昨日につづいて「朧銀金彩蘭花文透彫帯留」という箱書きのある帯留を実際に帯に合わせてみます。今回は染めの名古屋帯で試してみます。今回も帯締は省略しています。

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いちばん上の写真は、花也の友禅の染め帯に合わせてみました。市松の地紋を利用して、市松に模様を配置した意匠です。模様は、花也らしく安田由来の端正な糊糸目です。地色は墨色、模様は模様は白い糸目ですから、白・黒・金の必勝配色です。また楓の金と赤がありますが、それもまた帯留の金色の応援になっています。

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写真2番目は、京正(制作は中井淳夫)の染め帯に合わせてみました。箔のみで表現された「瑞葉」という名の作品ですが、形は縁蓋でくっきりあくまで端正につくられていますし、色は金~白金~銀まで多様に変化しています。さすが中井さんなんですよね。

今回は、この中井作品の一部を隠すことになっても、その金箔の上に金色の帯留を重ねています。色も形も美しい中井の作品に欠ける唯一の要素である立体感を、帯留で補ってみたのです。(本来であれば刺繍で立体感を加えるべきであるが、この作品で中井はそれをしなかった。)

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写真3番目は、千切屋治兵衛(制作は倉部)の染め帯に合わせてみました。笹の丸を箔と刺繍で表現したもので、帯留との関係は金色どうし、同質性の高い組み合わせです。モチーフの意味としては、竹と蘭ですから共に四君子の仲間で、多少のつながりが作れていると思います。日本ではあまり意識しないですが、中国の絵画では春夏(蘭は春、竹は夏)の組合わせということになりますね。

今回は、帯の模様と帯留を少し重なるぐらいに微妙にずらしてみました。腹文がワンポイントのばあい、帯留をずらすべきか重ねるべきか迷うことがありますね。帯の柄をずらして帯留が真ん中というパターンと帯の柄は真ん中んで帯留をずらすというパターンがありますし、体形と帯の長さの関係で結果的にそうなる場合も、意図的にする場合もあるでしょう。

帯の柄と帯留をずらす理由は、帯の柄に美術的な価値がある場合、見えなくしてしまうのはもったいないということだと思います(今回の例)。一方、重ねる理由は、帯の柄と帯留が重なることで視覚的に相乗効果をもたらすことができるばあいだと思います。

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写真4番目は、花也のダンマルと箔と刺繍の帯に合わせてみました。黒に近い濃い地色にあまり光らない箔の模様です。刺繍はお太鼓に名ありますが、腹文にはありません。

今回は、帯の柄の真上に帯留を重ねてみました。光る金と光らない金と周囲の黒が階層を成すようにしてみたのです。

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写真5番目は、千切屋治兵衛(制作は中井亮)の染め帯に合わせてみました。水玉と斜線を配した抽象的な意匠です。ここでの狙いは金彩で表現された水玉で、柄である水玉と立体である金色の帯留が視覚的な混乱を招く面白さを狙ってみました。この写真では混乱することはないですが、遠くから見たら柄か帯留か迷うかもしれません。

明日は日光まで法事で行かなければならないのでお休みします。
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[ 2014/01/25 ] 小物と小物合わせ | TB(0) | CM(0)

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