花也の名古屋帯の細部

第二千五百八十二回目の作品として、花也の名古屋帯の細部を紹介します。

今日は、裏側や細部の拡大をお見せします。友禅というのは、全体に友禅で模様を描いた後、強調したい部分に箔を置いたり、刺繍(あしらい)をしたりするものです。しかし、この作品では、箔については、強調したい場所にするのではなく、彩色と一緒になって全体の模様の構成に貢献しています。

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いちばん上の写真と2番目は、霞部分の表側と裏側です。霞の中は箔による波の模様ですが、裏から見ると、波の模様通りに糸目の線が見えます。つまり、表から見ると糸目の輪郭線は完全に埋没して見えませんが、見えないところでちゃんと手間をかけているわけです。

京友禅で、箔を主体にした作品では、生地に直接箔加工した作品と、一度糸目を置いて防染してから箔を置いている作品があります。完成品を表から見ると、全く差がありません。ではなぜ、この作品のように、埋没してしまうとわかっているのに、わざわざ手間をかけて防染する必要があるのか、私にはわかりません。

一般的な傾向としては、倉部さんのように箔が本業の人の作品のばあいは、直接箔が置いてあることが多く、この作品のように友禅が本業であるが、箔が多めという作品については、防染してから箔が置いてある場合が多いですね。

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写真3番目は色紙内部の流水部分の拡大です。色紙の中の槇楓図については、金屏風のように背景がすべて箔加工になっているわけですが、その箔加工を拡大してみました。白い部分は、流水で白生地そのままです。

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写真4番目は色紙内部の光悦垣部分の拡大です。光悦垣の背景も箔加工ですが、全体の写真で見ると、光悦垣の背景の金はあまり光沢が無く、流水の背景の金は光沢があります。その違いをそれぞれの拡大写真で比較してみました。

背景の箔加工は、完全に箔加工してあるわけではなく、生地の凹凸の凹部分には加工してありせん。さらに見ると輝度が高い方は塩瀬の生地の凸の部分の箔加工面積が比較的大きく、光悦垣の背景、すなわち輝度が低い方は、生地の凸部分の箔加工面積が比較的小さく、凹部分の下地の色(ベージュ)の露出が多いです。人間の目には金とベージュが混ざって見え、あまり輝かない金になるのです。箔も、貼るか貼らないかではなく、コントロールすることで作画に貢献させるわけですね。

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写真5番目は、色紙内部の楓の刺繍(あしらい)の拡大です。金糸2本の部分が楓の輪郭、金糸1本の部分が葉脈です。
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[ 2013/12/29 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

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