藤井絞の桶絞りの訪問着の帯合わせ

第三千七百八十九回目は、藤井絞の桶絞りの訪問着の帯合わせです。

今日でこの着物の帯合わせは最後にします。最後は使い残し画像です。

染織の技法というのは、糸目友禅、刺繍あるいは箔のように強い存在感が有ってくっきりするものと、無線友禅の濡れ描き、ぼかしあるいは絞りのように輪郭線が曖昧で柔らかい雰囲気のものとがあります。染色作品の多くは、糸目友禅の模様の背景にぼかしを入れるように、輪郭がくっきりするものと輪郭が曖昧で柔らかいものとを組み合わせて作ります。

歴史的に見れば、室町後期の辻が花は、絞りと墨の線という柔らかい組み合わせで、戦国大名という権力側の衣装なのに儚い雰囲気ですが、その後に現れる近世の肩裾模様や慶長縫箔は、刺繍と箔という存在感のあるものどうしの組み合わせで、その戦国大名を滅ぼした側の衣装だと妙に納得してしまいます。

今回の桶絞りの訪問着は、全体に絞りをしているだけで、刺繍も疋田も加えてありませんから、剛柔のバランスを考えない柔らかい要素だけの着物です。漫才でいえばボケだけですね。このような着物は存在感のある帯を合わせてバランスを取るのが普通です。しかしあえてバランスを取らず、同じような雰囲気の帯を合わせて、自分を優しい人であるように演出する場合もあります。

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いちばん上の写真は、龍村の袋帯「ちとせ間道」を合わせてみました。柔らかい一方の訪問着のバランスを取るため濃い色の感度を合わせ、くっきりさせてみました。

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写真2番目は、龍村の袋帯「騎馬陶楽文」を合わせてみました。存在感ありすぎの帯を合わせ、着物の雰囲気をぶち壊してみました。

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写真3番目は、大西勇の袋帯を合わせてみました。本歌はコプトの綴で、個性の強い意匠ですが、帯に使われている色は、地は金(黄色の代り)、模様は青とグレー、葉としてわずかな緑ということで、色についてはすごく配慮してみました。

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写真4番目は、じゅらくの袋帯「帝王紫」シリーズの極初期の1本を合わせてみました。吉岡常雄監修として始まった「帝王紫シリーズ」ですが、これは吉岡常雄存命中のものですし、図案も本人によるものです。この着物のグレー部分は紫に見えるようなので、色の共通性も考えて合わせてみました。

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写真5番目は、龍村の名古屋帯「双鳥繍華文」を合わせてみました。模様を表現する絵緯糸についてはラメ糸を多用して強い表現になっています。その一方で、模様は細かく地の白い余白部分が多いので、帯と着物の関係についてはコントラストが強い組み合わせですが、抑制された感じです。

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写真6番目は、龍村の袋帯「錦秀遺芳文」を合わせてみました。いろんな意味でバランスの良い帯合わせではないでしょうか。1本と言われたらこれですかね。
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[ 2017/06/27 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

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