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奥順の「筑波紬」の帯合わせ

第三千七百六十九回目は、奥順の「筑波紬」の帯合わせです。

今日も昨日の続きで、絵画的に鑑賞できそうな染め帯で合わせてみました。

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いちばん上の写真は、千切屋治兵衛の名古屋帯を合わせてみました。実際に制作したのは藤岡さんです。縁蓋を使った繊細な金銀箔で倉部さんの作品みたいですが、糊糸目の友禅が特長の藤岡さんの作品です。どこが違うかですが、葉の間に見える薄茶の部分が友禅なのです。

倉部さんのばあいは刺繍と箔が本業なので、どうしても必要な時以外友禅は使わないのですが、藤岡さんのばあい友禅が本業なので、箔の作品でも下地に友禅をしているのです。大部分は見えなくなってしまい無駄にも思えるのですが、その作者の成り立ちが反映しているのでしょう。また糊糸目友禅が専業のような藤岡さんは、じつは縁蓋を使った高度な箔加工も結構上手いということがわかります。

作品の意匠の意味ですが、楓(八つ手に見えますが)を組み合わせて梅の花に見せるというもので、春秋対応なのです。

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写真2番目は、千切屋治兵衛の名古屋帯を合わせてみました。実際に制作したのは野村さんです。糊糸目の友禅と型疋田を併用したもので、生地は紬地、地色は黒です。シンプルで大きなモチーフが黒地を背景にし、しかもモチーフ自体も無彩色であれば、粋の見本みたいになって人を選びますよね。

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写真3番目は、藤井絞の紬地の名古屋帯「六葉花」を合わせてみました。絞りの技法で具象画を描く辻が花の様式の作品です。図案は創作で、辻が花が幻と言われず現代まで続いていたらこうなっていただろうという趣旨のものだと思います。ただし、この作品は、絞った後に染液に浸けず筆で着彩しています。

藤井絞は、本来、染液に浸ける本物の絞をしていることが売りですが、その本物の職人が染液に浸けないニセモノを作ると、もっと上手くなるという例ですね。

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写真4番目は、藤井絞の辻が花写しの名古屋帯を合わせてみました。この着物を仕立てる人はたいていは単衣で仕立てるでしょう。それを考えて夏帯を合わせてみました。これは辻が花のかなり本歌に近い写しです。

ちゃんと染液に浸ける絞りで、地ではなく模様が染まっている絞りは、全体をフィルムで覆い模様部分だけを露出した状態で染液に浸けるもので、その時は棒状になっていて、初めて見る人は着物を染めているとは思わないかもしれません。それを色の数だけ繰り返すわけです。絞りというのは浸けるか浸けないかで、難度も手間も全然違うのです。

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写真5番目は、藤井絞の辻が花写しの名古屋帯を合わせてみました。これも室町時代にある本歌に近い写しで、ちゃんと染液に浸けています。生紬地で単衣に良いですね。

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写真6番目は、藤井絞の神坂雪佳の名古屋帯「金魚玉」を合わせてみました。神坂雪佳は、画家としては琳派に属し戦前に下絵集を発表していますが、それは芸艸堂という出版社から発売されていて今も売っています。今の人気のきっかけは、フランスのブランドが冊子の表紙に取り上げたからで、そのときは神坂雪佳の作品を所持している一の橋に取材に来たそうです。

これは最近特に人気の図案ですが、各社、友禅で制作する中、藤井絞は絞りで制作しました。ただし染液には浸けていません。さすがに無理なんでしょうか。生地は生紬で単衣向きですね。
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[ 2017/06/07 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

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