花也の夏の名古屋帯「流水に色紙取り撫子」の細部

第三千七百六十三回目は、花也の夏の名古屋帯「流水に色紙取り撫子」の細部です。

今回の作品は、個性のある変わり織の生地に友禅染を重ねたものですから、今日は両者の関係をテーマにしてみたいと思います。

IMG_00622.jpg
いちばん上の写真は、腹文の片側です。花のある側で、たいていの方はこちらを表に出すでしょう。着物の意匠は、モチーフは同じであっても、それを全体に散らす場合と一か所に集中させる場合があります。集中させる場合はその模様よりもむしろ模様のない部分が重要です。模様が集中する着物は余白の多い着物になるわけで、模様面積を抑制して着ている人間を主役にする着物とも言えるからです。

模様を集中させる装置が取り方で、この帯ではメインのお太鼓が色紙取り、サブの腹文が散らす模様と両方見せてくれています。帯ということで、元々面積が小さいから効果は限定的ですが。

IMG_00582.jpg
写真2番目は、腹文の片側です。お太鼓の模様を見ると、生地の紋織は横段で、水平の流水模様と馴染んでいます。しかし帯の構造上、お太鼓で横段だった紋織のパターンは、腹文では縦縞になってしまいます。それで水平であるべき流水との間で辻褄が合わなくなるんですね。これはどうしようもないですね。

IMG_07172.jpg
写真3番目は、生地を拡大してみました。紋織部分は2種類ですが、これは一見、沖縄の花織みたいに見えるところです。ちゃんと見ると違いますね。表裏完全に同じです。

IMG_07142.jpg
写真4番目は、生地を拡大してみました。3本ずつ束ねて紗のように織っているのがわかります。束どうしの間には隙間が空いているので、やはり紗で夏の生地だとわかります。しかしこうしてみると、絹地というより顕微鏡で見る微生物か、侵略してくるインベーダーのように見えますね。

IMG_07212.jpg
写真5番目は、生地を拡大してみました。紋織と友禅の模様が重なる部分です。今回の作品は3本束ねた紗の上には模様が無く、花織のように見える紋織の上には友禅模様が有ります。生地に凹凸があって立体的な紋織の上に友禅の模様を乗せると、絵に陰影が付いているような錯覚が生じることがあります。

IMG_07202.jpg
写真6番目は、生地を拡大してみました。紋織の上に箔を置くとどうなるか撮ってみました。案外しっかり被さっていますね。凹凸のために光の反射に差が出て、面白い視覚効果を上げています。
スポンサーサイト
[ 2017/06/01 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://shirokiyagofukuten.blog.fc2.com/tb.php/1397-408aa456